殺害されたシャロン・テート(Photo by gettyimages)

ハリウッド史に残る「美人女優惨殺」を検死した日本人法医学者の告白

映画『ワンアポ』で話題の事件の裏側

謎多き事件を担当した日本人法医学者

2019年8月30日、クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が日本で上映を開始した。大物俳優のレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが初共演するということもあって、上映前から、メディアでも大きく取り上げられていた。

 

そのちょうど1ヵ月前、ある年配の法医学者が日本に到着した。その人物は、1967年から15年にわたって、米カリフォルニア州のロサンゼルス郡検視局長を務めた日本人のトーマス・野口氏。現在でも現役で仕事を続けている92歳の野口氏は、東京で行われた世界医事法学会の学会に参加するために日本を訪れた。

 

筆者は拙著『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)で彼の人生を記録する取材を始める前から、野口氏とは交流を続け、現在でもお互いが日米を行き来する際に顔を合わせている。

米在住の野口氏がそのタイミングで日本に降り立った事実に、何か因縁めいたものを感じた。というのも、その少し後に上映が始まった『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の題材でもある「シャロン・テート刺殺事件」では、当時、検視局長だった野口氏が自ら現場で検視を行い、被害者たちの検視解剖を行ったからだ。

シャロン・テート(Photo by gettyimages)

この事件では、カルト指導者だったチャールズ・マンソンと、彼の作った「マンソン・ファミリー」と呼ばれるカルト集団が犯行に関与していたことで、猟奇的な事件として大きな騒動になった。

同映画については、ネタバレしないよう、これ以上は触れないが、映画をより深く理解するには、日本ではあまり馴染みのないこの「シャロン・テート刺殺事件」について知っておいたほうがいい。そして謎の多いこの事件を法医学の側面から支えたのが、日本人のトーマス野口だったという事実も。