「令和のゼロ戦」は不可能? 純国産戦闘機を作りたくても作れない日本

二者択一を迫られている
半田 滋 プロフィール

吹っかけてくるアメリカ

防衛省で現在、将来戦闘機の候補として有力視されているのは、前述の通りF22とF35のハイブリッド戦闘機と、BAEシステムズ社が国際共同開発を目指すユーロファイター後継機の「テンペスト」の2機種となっている。

2018年に発表された「テンペスト」のイメージ模型(Photo by gettyimages)

また、米国でF35の共同開発を担った米ノースロップ・グラマン社が防衛省に協力を申し出ている。同社は米政府への戦闘機売り込みをめぐり、F22と競って敗れたステルス戦闘機「YF23」を開発した実績があり、戦闘機メーカーとしての実力は証明されている。

ノースロップ社の試作機YF23()

自衛隊と米軍との相互運用性および米政府との良好な関係の維持を考えれば、米国メーカーと共同開発するのが現実的な選択肢であるのは間違いない。

ただ、防衛省には米国との間での戦闘機開発をめぐって煮え湯を飲まされた過去がある。日米でF2を共同開発した際、米国は提供を約束した飛行制御プログラムを開示せず、日本側の開発費が高騰する一因となった。

その一方で、日本の先進技術による炭素複合材の製造技術が米国に流れ、米国がF22やF35に転用する「ちゃっかり」ぶりも明らかになった。

 

米国との取引には、「現代ビジネス」でも繰り返し問題点を指摘している通り、米政府の特殊な武器売却方式である対外有償軍事援助(FMS)のリスクが付きまとう。

FMSは(1)契約価格、納期は見積もりであり、米政府はこれらに拘束されない、(2)代金は前払い、(3)米政府は自国の国益により一方的に契約解除できる、という米政府に有利な殿様商売である。

戦闘機ではないが、滞空型無人機「グローバルホーク」の場合、防衛省は当初3機510億円で米政府と契約したものの、あとになって米側の都合で119億円(23%)も高い629億円への値上げを吹っかけられた。

防衛省には、武器の価格が15%上昇したら見直しを検討、25%の場合は購入中止を検討するというルールがある。省内には「グローバルホークは断念すべきだ」との声が強かったが、トランプ政権への配慮を最優先する首相官邸の意向を忖度して、購入が決まった。