「令和のゼロ戦」は不可能? 純国産戦闘機を作りたくても作れない日本

二者択一を迫られている
半田 滋 プロフィール

実戦経験がないので…

国内で唯一、戦闘機を製造する能力がある三菱重工業は防衛省からの発注を受けて、最新の戦闘機技術を盛り込んだ先進技術実証機「X2」を製造し、16年に初飛行させた。「X2」は国産エンジンの推力が小さいことから小型機となり、戦闘機への転用はできないが、レーダーに映りにくいステルス機の国産化は可能であることを文字通り、実証した。

国産の先進技術実証機X2(手前、Photo by gettyimages)

一方、エンジンメーカーのIHIは「X2」にエンジンを提供した後、推力15トンという戦闘機として十分な能力のエンジンを開発、昨年、防衛装備庁に納入した。また三菱電機は世界でもトップレベルのレーダーを製造する技術を持っている。

やっかいなのは、こうした技術を単純に組み合わせるだけでは戦闘機として成立しないという点にある。戦闘機の心臓部にあたるソフトウェアや武器システムは、実戦経験のある国でなければ必要十分なものは開発できないとされている。

その点は防衛省も承知しており、昨年、米、英両政府に既存の戦闘機をたたき台にした将来戦闘機について提案を求めた。その結果、米ロッキード・マーチン、米ボーイング、英BAEシステムズの3社から提案があった。

 

このうち米ロッキード・マーチン社は、世界初のステルス戦闘機「F22」の機体に、最新のステルス戦闘機「F35」の電子機器を搭載するハイブリッド戦闘機を提案した。

エンジンが双発で運動性能に優れるF22の機体とF35の最新電子機器を組み合わせれば「世界最強の戦闘機になる」というのだ。

米空軍のF22(米空軍サイトより)

F22はもともと航空自衛隊が次期戦闘機として渇望していたが、日本への技術流出を恐れた米議会が輸出禁止を決議し、防衛省はやむなくF35を導入したいきさつがある。米ロッキード・マーチン社は「ハイブリッド戦闘機はF22とは異なるので米議会の禁止決議には触れない」と防衛省側に説明している。

だが、防衛省に提示したハイブリッド機の価格は、なんと1機220億円。本年度のF35の調達価格が1機113億円なのと比べて、いかに高額かわかる。防衛省が難色を示したところ、一週間も経たないうちに一部性能を落として190億円代に値下げし、「本気度」をアピールしてきた。

米ボーイング社の提案は既存のF15の近代化改修、またBAEシステムズは航空自衛隊の次期戦闘機選定の際、F35と競って敗れた戦闘機「ユーロファイター」の提案だったため、ともに新味はなかった。

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