インスタとユニクロで日本人の「おしゃれ」が変わった

「表現」から「共感」へ
米澤 泉, MB プロフィール

若者がヨウジヤマモトの服に惹かれる理由

――米澤さんは同書で「山本耀司の服に、平成生まれの世代が惹かれ始めているという」と書かれています。ヨウジヤマモトと言えば80年代DCブランドブームで名を馳せたブランド、つまり平成世代が生まれる前です。

米澤:いま、80年代がちょっと注目されているんですよね。

2019年のパリコレでヨウジヤマモトの2019-20年秋冬のファッションショーを開催した山本耀司

MB:ここ数年はユニクロと相性のいいノームコア*1のブームが続いていましたけど、ファッショントレンド的にはそろそろブームが終わりかけていて、装飾的なものが好まれるようになってきました。

米澤:装飾的、すなわち80年代ですね。

MB:そうです。しかも、ストリートの装飾は 90 年代の裏原ブームでやり終えちゃっているから、方向性的にはドレスっぽい装飾。テーラードスタイルをシルエットで崩したり、ディティールで崩したり。それがヨウジヤマモトやコム・デ・ギャルソン。これらが10代の感度の高い子たちに注目されている傾向は、たしかにありますよ。

実はシンプルなものの後に装飾的なものが流行るというのは、かつてのアメリカにもありました。1950年代後半から60年代前半のビートニクカルチャーは「シンプルなものがかっこいい」でしたけど、その後の70年代ヒッピーカルチャーは装飾的。「シンプル→装飾的」の順番が一緒なんです。

米澤:とは言っても、それは感度の高い人やハイブランドの話で、一般の人たちの間でノームコアが終わるのは、まだまだ時間がかかりそうですよね。