インスタとユニクロで日本人の「おしゃれ」が変わった

「表現」から「共感」へ
米澤 泉, MB プロフィール

インスタ映えするブランドとは

――インスタグラムでも、ユニクロとは思えないようなおしゃれなスタイルなのに、ハッシュタグに「#ユニクロ」がついているのをよく見かけます。

MB:インスタグラムの文脈でいうと、実はいま、ハイファッションにある変化が起こっているんです。インスタグラムによって写真1枚で評価される文化になったわけですが、そうなると、ユニクロの写真を撮っても誰も「いいね!」なんて押してくれない。皆が同じものを着ていますから。それより「バレンシアガ」のロゴがはっきり見えていたほうが「いいね!」を押されやすい

米澤:だから今は、すごく大きなブランドロゴやモノグラムが流行っていますよね。その背景には確実にインスタブームがあるし、そういう流れをキャッチアップできていないブランドは淘汰されているんじゃないですか。

MB:そうですね。アイコン化されていないブランドは厳しい

 

インスタ写真は「素材感」を伝えられない

米澤:デザイナーがいかに優れていても、インスタの流れに乗り遅れちゃったブランドは終わってしまう。布の質感とか縫製といった品質はインスタの写真ではわからないですからね。

MB:ええ、素材感が評価軸から無視されちゃうことで失うものは大きいですよ。洋服と和服の違いを考えてみるとわかりやすいんです。洋服はタキシードがあったり、シャツがあったり、ニットがあったり、ブルゾンがあったりと、見た目にわかりやすい形状のバリエーションがある。だけど和服ってひとつのデザインしかない。しかもシルエットが平面的で、他の人と差がつけられない。

じゃあどこで差がつけられるかというと、「染め」「織り」。つまり日本には古来から素材で差別化する文化があったんです。日本から出てきて世界進出も果たしたユニクロも、素材で差別化するブランドだと思うんです。シンプルなシルエットでデザインも特に突出していないけれど、素材がすごくいい、という。そういう意味では和服っぽいというか、すごく日本の会社らしい。

米澤:でも、インスタ写真でその素材感は伝わらない。

MB:はい。だから「インスタ映え」するようなわかりやすいアイコンを持たないユニクロは今後大丈夫かな?と思います。同時に、日本人の我々がもともと持っていた「素材に対する審美眼」がインスタ文化によって無視されないか、希薄にならないかも、僕はちょっと心配なんですよ