ユニクロが私たちの中で「ダサくなくなった」のはいつからか

日本人の「服を着る意味」が変わった
米澤 泉, MB プロフィール

服が「個性」から「部品」になった

米澤:スペックを追求する男性たちからしてみると、ユニクロはいまだに「ファッションを知らない人が適当に買う、安い服」という認識です。駅ナカにもあって、街にあふれているから。無印やGAP、ファストファッションであるZARAやH&Mとの違いをわかっていない人も多いんじゃないでしょうか。

MB:ユニクロは「スローファッション」的な志向であって、本来のファスト(FAST/早い)ファッションの志向とは全く逆です。たとえばZARAは、企画に上がってから店頭に出るまでたった3週間で、型数もめちゃくちゃ多い。だから毎週ZARAに行ったら毎週違うアイテムがある。その代わり、そこまで多く生産しない。

対するユニクロは工業製品みたいなビジネスモデル。ヒートテックなんて1億枚以上売っています。点数が多くなればなるほど商品単価は安くなるので、高級素材を使っているのに安い。その代わり、一度作ったらマイナーチェンジしながら同じものをずっと売り続けなければならない。また、老若男女誰にでも似合うものじゃなきゃいけないので、デザインのトレンドを素早く取り入れることはできません。これが「スローファッション」の意味です。

 

米澤:その普遍性こそが、ユニクロなんですよね。平成の30年間を通じて、日本人が服を着ることの意味が大きく変わり、服というものが個性の表現ではなく、単に服装の部品にすぎなくなった。その変化の渦中に、ユニクロはずっと存在していたように思います。

後編に続く)

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「見た目の時代から、くらしの時代へ」
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