ユニクロが私たちの中で「ダサくなくなった」のはいつからか

日本人の「服を着る意味」が変わった
米澤 泉, MB プロフィール

潮目を変えたのは「+J」

――「安いけどダサい」ユニクロの潮目が変わったのは、お二人の感覚だといつ頃ですか?

MB:2000年代に入り、店舗数もアイテムの展開数も増え、品質も徐々に上がり、ある瞬間に「もしかしたら使えるかも!?」となりましたね。そんななかで鮮明に覚えているのは、2009年の「+J(プラスジェイ)」です。僕のショップスタッフ時代ですが、周囲のユニクロ評価が一斉に変わりました。

米澤:そう! 「+J」は買いに行こうと思いました、私も。

MB:ユニクロがジル・サンダーとコラボして、みんな驚いたんですよね。シャツの形がやたら綺麗で、アパレルの人たちのあいだでもこれはちょっと買わないとマズいんじゃないか、みたいな空気になった。ただ、地元の新潟では「+J」を売っていたのがイオンのユニクロだけだったんですけど、発売日に並んだら全員アパレル関係者(笑)。一般の人はこれに気づいていなかったんです。

米澤:ただ、「+J」は良かったけど、普通のユニクロのラインまだダメでした。フリースは寒い時に家で着るものだし、ヒートテックはインナーだから見せるものじゃない。やはりユニクロが今のような地位に上り詰めたのは、2015年くらいですよ。

 

ユニクロの「和」な企業努力

MB:僕、2011年くらいからずっとブログとメルマガの連載で「買ってはいけないユニクロ」という記事を書いてるんですけど、最初の頃は、買ってはいけないアイテムが多すぎました(笑)。『スター・ウォーズ』のヨーダがプリントされたシャツとか、下が濃くて上が薄くグラデーションになってるデニムシャツとか。「すげー、こんなの誰が着るんだろう?」って書きたい放題だったんです。

でも、今はもうディスれない。明確に「買ってはいけない」と言い切れるものがないから。それで、ある時ユニクロの意見交換会に呼ばれて行ったら、生産チームが僕の文章をずっと読んでいたことが判明したんです。

米澤:度重なるディスりを(笑)。

MB:僕にダメ出しされたディスられポイントを改良し続けたそうなんです。「こいつに負けるまい」って。感心しましたよ。実はユニクロって、一見して同じアイテムでも毎年同じものを出していない。ヒートテックは毎年出しているけど、わずかに身幅や肩幅を変えている。僕が今日履いているインソックスもそう。インソックスって脱げやすいものですけど、脱げなくするにはどうしたらいいかというのを日々研究して、毎シーズンごとにほんのちょっとずつ変え続けている。

米澤:日本ならではの商品開発、企業努力って感じですね。痒いところに手が届く。

MB:そうですね。考え方が「和」だと思います。ただ、米澤さんは著書で「ずっとユニクロが苦手だった」と書かれていましたね(笑)。

米澤:一応、今も中に1枚着ていますけど、積極的には買わないです。食べ物で言ったら、食べられないことはない、くらい(笑)。苦手ではなくなりました、という感じですね。