戦場ジャーナリストとして世界中で活躍し、2012年にシリア政府に暗殺された実在の女性、メリー・コルヴィンの半生をたどった映画『プライベート・ウォー』が9月13日に公開。

本作のメガホンをとったのは、メキシコの麻薬カルテルを題材にした『カルテル・ランド』(2015年)やISISに抗う市民ジャーナリスト団に密着した『ラッカは静かに虐殺されている』(2017年)で知られるマシュー・ハイネマン監督。

左から、マシュー・ハイネマン監督、メリー・コルヴィンを演じた女優のロザムンド・パイク(『ゴーン・ガール』)

メリーはなぜ自らの命を懸けてまで戦場に赴いたのか。彼に電話インタビューした内容をもとに、戦場ジャーナリストの心理を探っていきたい。

“傷”を隠す、黒い眼帯

生きていれば今年63歳だったメリー・コルヴィン。アメリカ人の彼女は英国サンデー・タイムズの戦場ジャーナリストだった。レバノン内戦、湾岸戦争、チェチェン紛争、東ティモール紛争など、危険地域に行き取材を重ねるが、2001年のスリランカ内線でロケット砲弾を受け、左目を失明してしまう。

『プライベート・ウォー』より

それ以来、黒い眼帯が彼女のトレードマークとなり、映画内で見られるように自分の眼帯のことをジョークにしたりと気丈にふるまうが、一旦戦場から戻ると紛争地で目にした光景のフラッシュバックに悩まされる。

2つの世界の狭間で

通常の伝記映画は物語を時系列に語るが、本作は時空や場所を超えて展開する。例えば、ロンドンにいるメリーがドアをくぐると、そこは戦地だったりするのだ。

「静かなロンドンの生活と危険な戦場を行き来することは、メリーの心を非常に混乱させました。頭では理解していても、 2つの世界に行ったり来たりするときに起きる、突発的な変化、そしてPTSD(心的外傷後ストレス障害)によるフラッシュバックがどんなふうに彼女の頭に入ってくるかを映像で表現したかった

そうハイネマン監督が説明するように、本作はメリーの混乱する心やPTSDを疑似体験するようなつくりになっている。