〔PHOTO〕gettyimages

「雨傘運動」活動家の訪独から見えてくる「香港の残念すぎる運命」

西側から見捨てられ「無血の天安門」に

外からは見えない特別なパイプ

ドイツ人は昔から中国が好きだ。何となく、「中国人は凄い!」と感じている。漠然とした畏怖の念も持っているのかもしれない。80年代の初め、私がドイツに渡った頃、若者のあいだで毛沢東は、信奉はしないまでも、結構な人気だったのを覚えている。

貧しかった中国は、ここ十数年間で、急激に成長した。中国の経済成長は世界市場の拡大であり、輸出に多くを依存しているドイツ企業に膨大な利益を齎した。メルケル首相は、「中国は、私たちにとってアジアで一番大切な国」と言い、これまで14年の任期中、ほぼ毎年中国を訪れた。直近では、先週の6~7日に、北京と武漢を訪れている。

〔PHOTO〕gettyimages

訪中の際には毎回、大企業のCEOたちが随行し、多くの巨大商談をものにする。今回もやはり、メルセデス、フォルクスワーゲン、BMW、シーメンス、アリアンツ、BASFなど30社のボスたちが連なった。両国の関係は経済のみといっても過言ではない。一応、人権運動家や学生との対話もプログラムには入るが、どれもアリバイ的な感は拭えない。

「商売、商売、商売。時間が余れば、また商売」と、随行の記者が書いている。独中間の年間貿易総額は、今や2000億ユーロに迫った。ちなみに、“ウィン・ウィン”というのは、この両国の企業人や政治家が一番好んで使う言葉だ。

ただ、そうはいっても、ドイツと中国の関係というのは複雑怪奇だ。商売のためには中国の嫌がることは極力避けるという方針が、すでにシュレーダー前首相時代からの不文律となっている一方で、中国当局に抵抗していた近代美術家、艾 未未(がいみみ)に滞在許可を出したり、中国で服役したまま死亡したノーベル賞作家、劉 暁波(りゅう ぎょうは)の妻を亡命させたりしているのもドイツだ。

ドイツがこれらを「正義」の意思だけで、中国政府の了解なしに強行しているとは、もちろん思えない。どういうバーターがあるのかはわからないが、ドイツ政府と中国政府の間には、外からはよく見えない特別なパイプがあることは確かだ。

 

実は、現在もまた、よくわからない事態が進行している。

それは2014年の「雨傘運動(Umbrella Movement)」の首謀者だった学生、黄 之鋒(こう しほう)氏(22歳)が、9日、ドイツに来たことだ。

〔PHOTO〕gettyimages

黄氏は8日、出国の際、香港空港で一時拘束されている。しかし、24時間後には釈放され、無事、ドイツに向かった。ほとんどメルケル首相の帰国を追いかける形でドイツに飛んだわけだ。