普通の人も「起業するより、会社は買え」が当たり前の時代が来た

怖がらず、まずはやってみる

昨年刊行され、17万部のベストセラーとなった『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(三戸政和著)。本書の刊行をきっかけに、中小企業の事業継承、そして一般サラリーマンの経営者への転身が一躍注目を浴びた。

今回、事業承継プラットフォーム「TRANBI(トランビ)」社長で『起業するより会社は買いなさい』を上梓した高橋聡氏と、三戸氏の対談が実現。「会社を買う」ことのリアルを語り合った。

 

後継者不足という社会問題

高橋 トランビは、さまざまな規模のM&A案件をネット上で紹介する日本最大規模の事業承継プラットフォームですが、もともと8年前に立ち上げたときは「中小企業が中規模企業を買う」ことが中心になると想定していたんです。

ところが、昨年刊行された三戸さんの『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』がベストセラーになったことで、それまであまり考えていなかったサラリーマンなどの個人がM&Aに参入するようになりました。三戸さんの本から、「M&Aに挑戦してみたい」という個人のニーズがあることに気づかされました。

高橋氏
高橋聡/2001年アクセンチュア株式会社に入社。2005年アスク工業株式会社に入社。経営戦略室室長、取締役常務を経て、2010年代表取締役社長に就任。日本初のユーザー投稿型M&Aマッチングサービス「TRANBI(トランビ)」を開発。2016年株式会社トランビを設立し、代表取締役に就任。

三戸 そのニーズは、ますます高まっていると思います。

昨年の秋、私の主催しているサロンで高橋さんに講演してもらいましたけど、そのときサロンのメンバーは約70名でした。それがいま230名にまで、1年間で約3倍に増えています。月額1万円の会費を払って集まっている方たちなので、「会社を買う」ことに挑戦したいという本気度はかなり高いですし、すでに実際に会社を買った人も7人ほどいます。

高橋 三戸さんの本をきっかけに、「個人M&A」「ミニM&A」がブームのようになって、NHKの「クローズアップ現代」「おはよう日本」などの番組や日経新聞で紹介されています。

とくに、日本の中小企業の後継者不足という社会問題と絡んだこともありますね。日本の中小企業は事業自体は黒字でも、そのままでは後継者がいなくて廃業するほかないという会社がいっぱいあるわけですから、それを解決する手段として、第三者による事業承継、M&Aが注目されるようになりました。

とりわけ地方では、それにさらに人口減少の問題がありますので、UターンだけでなくIターン、Jターンによって、地方に人を導き、中小企業に新たな息吹をもたらすのは非常にメリットの大きい話なんですよね。

三戸 我々のところにも、千葉、静岡、福岡の自治体などから引き合いがあります。各地の商工会議所が中心となって、事業承継と中小企業の再生を進めたいということでしょうね。我々もチームを組んで、できることがあったらお手伝いしますというスタンスで取り組んでいます。

サロンのメンバーも、自分の行きたい先の地方自治体に個人向けM&Aを特集した番組のDVDを送り付けて、営業をかけようとしている人もいます。