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国会議員誕生で議論沸騰…「重度訪問介護」の何が問題?

篠沢教授とれいわ新選組
川口 有美子 プロフィール

介助介護サービスの内容は、障害者の要求を受けて、これからも変わっていくだろう。しかし、社会保障費の緊縮が重視されている間は、利用者増に比例して障害者福祉も予算増というわけにはいかないかもしれない。安楽死合法化が一定の支持を獲得してきているなかで、胃ろうや人工呼吸器、透析等の医療や医療的ケアを必要とする重度障害者の生存がどうなってしまうのか、正直言って不安材料だらけである。

重訪は就労・就学に使えない⁉

この7月の参議院選挙で、れいわ新選組から立候補して特定枠で当選した二人の重度障害者が、にわかにマスコミに取り上げられ、重度訪問介護が一般に知れ渡ることになった。

重度訪問介護には残念な部分もあって、就労や就学時に使えないという決まりがある。これを修正して、議員活動にも使えるようにしたいと二人が就任早々、厚労省に要求した。

厚労省としては、「公費でヘルパーを使って私財を築くことになる」「企業がヘルパー代を負担するか。自分の給与から出すべきである。公費で雇用すべきではない」ということである。

国会議員は秘書3名を雇用できる。それにほかにも使える歳費があるから、ヘルパーを秘書として雇用するか、秘書がヘルパーもすればいいじゃないか、とツイッターで呟く同僚の参議院議員もいた。

しかし、議員秘書も重度障害者の介護も、それぞれの専門性が必要で、片手間にできる仕事ではない。ヘルパーの業務は日常生活支援や身体介護のためであって、仕事を手伝わせるためではないと当事者たちは言っているのだが、障害者の介助や介護の内容については、一般の人にもわかりやすく説明して、理解してもらう必要がある。

もし国が二人の要求を飲むことになれば、全国の重度障害者に就労の道を拓くことになる。それ自体は良いことに違いない。

しかし、厚労省が慎重にならざるをえないのは、重度訪問介護の利用拡大が社会保障費の増大につながる恐れがあると思っているからだ。2003年に始まった「支援費制度」も厚労省が予期していなかったほどの利用の拡大で、開始からほぼ半年で予算超過して大問題になった。だから予期せぬ事態がないとはいえず、現時点では慎重になり、積極的になれないのである。