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国会議員誕生で議論沸騰…「重度訪問介護」の何が問題?

篠沢教授とれいわ新選組
川口 有美子 プロフィール

介護は愛よりもスキルと量

介護に家族の愛はあったほうがいいが、それ以上に必要なのはヘルパーのスキルと十分なサービス量である。

教授の日常を支えていた重度訪問介護は、日本の障害者運動が長い月日をかけて、国と交渉して作り上げた当事者主体のサービスだ。だから、業界の発言力を無視できない介護保険サービスなどとは違い、利用者本人のニーズを汲んだ個別性の高い介護を提供できる構造になっている。

ただし、多額の税金を使うことになるため、支給決定をする市町村の障害福祉課の職員が、このサービスの利用を強く勧めることは滅多にない。いや、そもそも制度の存在自体が知られていない。行政職員ばかりかケマネージャーにも知られていない。超重度の身体障害者を担当することになって初めて在るのを知るというサービスの類である。

しかし、重度訪問介護が命運を分ける病いや障害がある。先天性の脳性まひ等、脳梗塞などの後発の脳血管性障害、事故等による脊髄頸椎損傷や遷延性意識障害、そしてALSや筋ジストロフィー、パーキンソンなどの神経筋難病疾患、知的障害者にも使われている。

今は興味がない人も、こんな介護サービスがあるということだけは覚えておいてほしい。そして、万が一必要になったときには、「重度訪問介護」でググって丹念に調べて、市町村に給付の申請をしてください。

「重度訪問介護」のサービスとは?

重度訪問介護は融通が利く、個別性重視のサービスを提供している。

介護保険の訪問介護サービス内容と比べると、介護保険が最重度の要介護5の人でも、1回につき15分~1時間程度の訪問しか利用できないのに対して、重度訪問介護は長時間連続して利用できる。

その間「見守り」(利用者から目を離さず「待ち」の姿勢で控えていて、利用者の指示で始動する介助)も可能だ。利用者が寝入った後の夜勤も「見守り」として認められるため、1日24時間365日途切れることなく、シフトを組めるだけのヘルパー人員を確保できれば、一人暮らしが可能だ。家族に一切負担をかけずに、自宅暮らしを選択できるということだ。

介護保険にはない「移動介護(外出支援)」も認められている。しかもヘルパー二人体制も認められているので、一人のヘルパーが車椅子を押しながら、もう一人のヘルパーが言葉の読み取りをしたり、身体の調整をしたり、吸引したりして、長時間の外出も安全・安心である。外泊も認められている。

入院時には付き添い、自宅と同じように見守りができる。長期入院の者には院外の事業者のヘルパーを利用した外出も認められている。

細かいことはまだあるが、以上がざっくりした2019年秋現在の重度訪問介護の内容である。