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日産社長退任…ゴーン事件「国策捜査」は国益に適ったのか

自動車戦争を生き残ることはできるか

ゴーンの不満

私は不法を行なっていないし、カネも受け取っていないのに起訴され、西川氏は受領したことを認めたのに逮捕もされない。極めて不公平、不平等だ――。

カルロス・ゴーン被告は、日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)が、「ストック・アプリシエーション権(SAR)」と呼ばれる株価連動型報酬制度を使い、4700万円もかさ上げした報酬を受け取りながら、検察がまったく問題にしなかったことについて、こう不満を漏らしているという。

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不満はわかるが、ゴーン被告が「法を犯した罪で自分が裁かれ、同じ事をしたのに西川氏が裁かれないのはなぜか」と、この事件をナイーブに捉えているとしたら驚きである。

事件は、ゴーン被告を逮捕するためにしつらえられ、事実上の司法取引で西川氏はセーフとなるのが自明だった。

以下に検証していこう。

 

「ゴーン切り」と鈍感力

「かさ上げ報酬」は、「西川広人さんに日産社長の資格はない」と題する『文藝春秋』(7月号)のケリー被告インタビューで明かされたもの。ゴーン被告とケリー被告は、幾つかの媒体やビデオメッセージなどで反論を試みたが、それが初めて実った。

ゴーン被告の不満のように刑事事件化は免れたものの、監査委員会の報告書で証明され、9日の取締役会で西川氏の社長兼CEO辞任が決まった。