iPhone 11でアップルが仕掛けた「新しいビジネスモデル」

「異例の発表」が意味していること
西田 宗千佳 プロフィール

iPhoneやiPad、MacやApple TVなどのアップル製品を購入した人に「1年間のApple TV+無料利用権」を付与する、と発表したのだ。これによって、年間で約60ドル分のディスカウントになる。

他のスマホメーカーはアップルのように映像配信事業を手がけていないので、「アップルならでは」の施策といえる。これが1つ目の武器だ。

「Apple Watch」が果たす役割

第2の武器は、同じく月額サービスの「Apple Arcade」だ。

こちらはゲームが遊び放題になる定額制サービスで、やはり月額4.99ドルで、日本でのサービスも予定されている。どんなゲームが遊べるのかは未知数の部分があるが、「アップルのプラットフォームでしか遊べないゲーム」だけが用意されるので、ヒット作が1つでも出ればその影響は大きい。これもまた、大きな差別化策だ。

最後の1つは「Apple Watch」だ。

アップルは今回、Apple Watchをフィットネスのためのものというより、「健康な生活」のためのもの、としてアピールした。多数の実際の体験談を集めたビデオを流し、急な病気の予兆を検知し、緊急通報するために使えるデバイスとして強調したのである。

特にアメリカでは、医療機器認可を受けたうえで、心電図の確認がおこなえるようになっているのが大きい。「いざというときに自分の異常を察知して助けてくれるデバイスが使えるのはiPhoneだけ」というアピールは、意外に大きなセールスポイントだ。

【写真】「Apple Watchで命を救われた人々」を紹介
  プレゼン用の映像で「Apple Watchで命を救われた人々」を紹介し、Apple Watchの価値をアピールした

iPhoneを中心にしたこのようなエコシステムのアピールこそ、アップルの最大の強みだ。問題は、それをいかに消費者に知ってもらうかであり、日本などアメリカ以外の国での価値をいかに高めていくか、という点につきる。

iPhone 11で打ち出したアップルの新しいビジネスモデルの成否やいかに? その行方に要注目だ。