iPhone 11でアップルが仕掛けた「新しいビジネスモデル」

「異例の発表」が意味していること
西田 宗千佳 プロフィール

今回、11 Pro系の価格は基本的に据え置かれているが、iPhone 11はiPhone XR発売時の値段に比べ、1万円程度安くなっている。

これもまた、価格面で非難を受けたことに対する「修正舵」であり、「iPhone 11を普及させたい」というアップルの明確な意図を示したものでもある。

「5G未対応」は欠点か?

ただし、他社製品と比較した場合に、アップルの製品に明確に欠けている施策もある。

──「5G対応」だ。

アメリカやヨーロッパ、韓国などでは、現在の携帯電話ネットワークよりも高速な「5G」のサービスがスタートしている。サムスンやファーウェイなど、アップルのライバルとなる各社は、5G対応のスマホを積極的にアピールしている。

一方のアップルは、今回のiPhone発表会のなかで一度も「5G」という言葉を使わなかった。もちろん、お披露目された新製品はいずれも、5G未対応だ。

現実問題として、5G対応が「今年必須」か、今年買う製品は5G対応でなくてはならないかといえば、決してそうではない。5Gが「全国展開」している国は存在しないし、そもそも日本でのサービス開始は来年からだ。「マス向け」という意味でなら、来年の機種から対応したのでもかまわない。

だが、「今年スマホを買う」ということは、「来年は買わないかもしれない」ということでもある。5G時代が視野に入ってきていて、昨年のモデルからの進化ポイントがカメラやバッテリー動作時間に集中している以上、「急いで買わなくてもいいのでは?」「買い換えは来年以降でもいいのでは?」と発想する人が出てくるのは自然なことだ。

アップル自身も、それは十分にわかっていたのだろう。

今年のiPhone発表会では、従来にない、ある異例の説明がおこなわれた。

異例の発表

iPhone 11の説明をした後に、「Apple直営店での買い取りシステム」について解説したのだ。

【写真】直営店での下取りを開始?
  発表会のなかで、直営店での「下取り」について異例の解説がおこなわれた。買い控え対策か

下取りそのものは珍しいしくみではなく、以前からあるものだ。

だが、最新iPhoneの発表後にわざわざ言及するというのは、それだけ「買い取りの存在」をアピールすることで、買い控えを解消したいのだろう。

なお、この買い取りのしくみは日本にもある。Apple Storeに使っていないアップル製品を買い取ってもらい、それをiPhoneの購入原資にあてることが可能だ。