昨年の中心モデルになった「XS」と、その大型版である「XS Max」は、新たに「Pro」を冠した「iPhone 11 Pro」シリーズに位置付けられた。



iPhone 11 Proは、ディスプレイに有機ELを採用し、カメラも望遠(52mm)・広角(26mm)に加えて、超広角(13mm)という3つのレンズを使った「三眼カメラ」を備えている。カメラ機能を中心に、「より高い品質を求める人」向けの製品だ。
“廉価版”ではなかったXR
「なんだ、名前を工夫しただけか」
そう思われるかもしれない。
しかし、このような施策をとれるのも、アップルのスマホのつくり方にマッチしているからなのだ。
昨年の「iPhone XR」は、確かにカメラの数やディスプレイの品質で「iPhone XS」に劣る部分があったものの、機能としてはほぼ同等レベルにあった。処理を司るプロセッサーの性能も同じであり、決して“廉価版”とよばれるような内容ではなかった。実際、他社のハイエンドモデル並の性能を誇っている。
今年のiPhone 11も、同じやり方を踏襲している。
iPhone 11とiPhone 11 Proは、いずれも同じ「A13 Bionic」というプロセッサーを使う。これは、昨年モデルに使われていた「A12 Bionic」の進化版で、性能をさらに強化したものだ。

アップルが切った第一の舵
注目すべきは、A13 Bionicでは消費電力が大幅に下がり、バッテリー動作時間がかなり長くなっていることだ。
iPhone 11はXRに比べて1時間、バッテリー動作時間が長くなり、ビデオ再生の場合で「17時間」動作するようになっている。11 ProはXSに比べて4時間伸びて「18時間」に、11 Pro MaxはXS Maxより5時間も伸びて「20時間」になった。
消費電力が低下し、性能がアップし、発熱が下がったことは、すべての人にとってプラスだ。

また、3機種ともに「超広角(13mm)」のカメラが追加され、きわめて視野の広い写真を撮影することができる。プロセッサーの性能を活かし、複数枚の映像を重ねて暗い場所を明るく撮影する「ナイトモード」も用意された。


XSとXRはもともと、前者が「付加価値の領域」を追求し、後者が「マス向け」に近い設計だっただが、iPhone 11世代では、その違いを名称から明確化するという修正舵をあててきた、といったほうが正確だろう。
そのうえで、11 Proシリーズを「画質」「音質」「カメラ性能」の面で差別化し、必要な人に向けてアピールした、という印象だ。