主軸は「iPhone 11」
「(昨年のモデルである)iPhone『XS』と『XS Max』、『XR』という3つのiPhoneは、顧客満足度が99%だった」
アップルのティム・クックCEOは、新iPhoneのお披露目を前に、こう語った。アップルが、自社製品の顧客満足度をアピールするのは珍しいことではない。
だが、今年は特に強調したかったのではないか、と感じる。昨年は「高価になった」と批判を受けた一方で、最も手頃な新モデルだった「iPhone XR」が発売直後に販売不調と伝えられ、減産も経験したからだ。

一方で、「購入して使ってくれた人の満足度は高く、製品としては優れたものだ」ということを、アップルは主張したいのだろう。
「iPhone 11」のネーミングに込められた意図
筆者の目からは、今年の新機種は、2018年モデルの“正常進化版”であり、不評だった部分を改善することに腐心したモデルに見える。
まず発表したのが「iPhone 11」だ。
数字だけのシンプルなネーミングであり、いかにも「メインモデル」にふさわしい名称だ。実際、アップルはこの製品を「より多くの人に使ってもらうもの」と位置付けている。


実のところ、iPhone 11は、昨年のiPhone XRの特徴を色濃く受け継いだ製品である。ディスプレイは6.1インチの液晶ディスプレイで、カラーバリエーションも6色と多い。
この製品をアップルが「iPhone 11R」ではなく、「iPhone 11」にしたことが、非常に大きなメッセージを含んでいる。
昨年は、「XR」「XS」「XS Max」の3モデルだった。XRは「ハイエンド機と同じコアを使ったお手頃なiPhone」として訴求されたものの、消費者のイメージとしては、「iPhone XSがメインマシンで、XRはコストを抑えた廉価版」ととらえられてしまった。
アップルは、「XR」につきまとったこのイメージを払拭したいと考えているのだろう。今年は、同じ位置付けでつくったモデルを「下位製品」ではなく、「メイン製品」として打ち出してきた。