「死にたい」つぶやきにどう返答するか…SNSカウンセリング最前線

共感だけでは前に進めない
宮田 智基 プロフィール

持て余す感情にどう対処するか

リストカットや過食行動などは、さみしさや怒りなど、本人が持て余してしまう「感情」に対処するための「行動」(対処行動)であるという視点はとても重要です。「リスカして血を見ると苛立ちがスッと消える」「食べている間は、何も感じなくて済む」と述べる人も少なくありません。その場合、単にその問題行動を止めるのではなく、より適応的な対処行動に置き換えていき、相談者の対処行動のレパートリーを広げていくことが重要です。

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先程の相談例では、<今まで、死にたくなった時に、リスカする以外で、気持ちが少しでも楽になったりしたことはありますか?>と尋ねて、好きなアイドルグループの曲を聞くと気分が少し楽になることを確認していました。

この相談例では、こうしたやりとりの後に、母親との関係で苦しくなった時に、リスカットする代わりに好きなアイドルグループの曲を聞いたりして、気分を変えることができるかについて話し合いました。そして、リストカットに代わる健康的な対処行動をとることを勧め、相談者もこれに同意して、相談終了となりました。

 

対面カウンセリングとどう違うのか

対面カウンセリングとSNSカウンセリングを比較すると、下記の表のようになります。詳細は割愛しますが、SNSカウンセリングでは、相談者の「情報量」が不足しがちであり、またやりとりに時間がかかります。対面カウンセリングは1回50分が基本ですが、SNSカウンセリングでは1回90分~120分程の時間がかかります。

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また、対面カウンセリングでは、カウンセラーはうなずきや表情、声のニュアンスなどの非言語的な応答によって、相談者に肯定的関心を持っていることを伝えていきます。しかし、SNSカウンセリングでは、非言語的交流ができません。そのために、普段、非言語的に伝えていることを、より明瞭に言語的に伝えていく必要があります。

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