「死にたい」つぶやきにどう返答するか…SNSカウンセリング最前線

共感だけでは前に進めない
宮田 智基 プロフィール

「共感」するだけではない

SNSカウンセリングでは、相談員は問題の具体的な状況やそれに伴う感情について積極的に「質問」をしていく必要があります。先程の相談例では、<家がつらい・・。どんな状況なのか、くわしく教えてもらえますか?><死にたいぐらい、苦しいんだね・・そういう気持ちは、いつぐらいから抱えているのかな?>と積極的に尋ねていました。

 

その際、相談者の心情に受容・共感的に関わりながら、相談者の状況や心理状態を理解していくために、“的を射た”質問をしていく必要があります。受容・共感だけでは、SNSカウンセリングは進みません。SNSカウンセリングでは、「質問力」が問われるのです。

『SNSカウンセリング・ハンドブック』(杉原保史・宮田智基 編著)より

【図を拡大する】

それでは、どのようなことを質問していけば良いのでしょうか? SNSカウンセリングでは、上記の図のような情報を明確にしていくために、質問を組み立てる必要があります。

「症状」や「問題行動」は、相談者の「パーソナリティ」と「ストレス要因」との兼ね合いの中で生じていると考えられます。相談員がすべきことは、「症状」や「問題行動」の背景にある「パーソナリティ」と「ストレス要因」との関わり合いを、「質問」によって明確にすることです。

「ストレス要因」は、多くの場合、人間関係のストレス (家族・友人・異性・職場など)です。いじめは、顕著なストレス要因と言えます。また、学業や就労がストレスになることもあるでしょう。「パーソナリティ」には様々な定義がありますが、ここでは「認知・感情・行動・対人関係のパターン」であると定義しておきます。

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相談者は、どのような「ストレス要因」にさらされているのか。相談者はその「ストレス要因」をどのように意味づけ(認知)、どのように感じ(感情)、どのように対処してきたのか(行動)。そして、どのような対人関係のパターンを繰り返しているのか。主訴に関わるこれらの要因を明確にしていきます。

なお、「パーソナリティ」の諸要因は常に相互作用をしており、1つが変われば他の要因も変化します。例えば、「認知」に変化が生じて他の物の見方や考え方ができるようになれば、自ずと「感情」にも変化が生じ、その影響は「行動」にも波及し、これまでと違った「対人関係」のあり方を経験できるようになるなどです。

SNSカウンセリングにおける「介入」のターゲットは、「パーソナリティ」の諸要因(認知・感情・行動・対人関係)、もしくは「ストレス要因」であることが多いでしょう。どの要因に介入することができるのかを考えながら、これらの要因が明確になるように情報収集を行います。ただし、事実関係の確認に終始すると、事情聴取や尋問のようになるので、受容・共感的な関わりとバランスをとって進める必要があります。

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