日本人は、実は「助け合い」が嫌いだった…国際比較で見る驚きの事実

そして背後にある「政治嫌い」の意識
坂本 治也 プロフィール

根本的な変化が必要かもしれない

上記の分析はあくまで試論的なものであり、より正確な因果関係の把握は、更なる精緻な分析を必要とする。

しかし、もし筆者の仮説が正しいのであれば、日本人の「共助」活動への忌避意識を克服するのは、かなり長い道のりとなるかもしれない。根深い「政治嫌い」の文化を克服することなしに、多くの日本人が「共助」活動に抵抗感をもたずに喜んで参加する、という変化は起きにくいと考えられるからだ。「『共助』を忌避する日本人」を変えるためには、私たちの政治との関わり方を根本的に変えていく必要がある5

 

2022年度から高校で「公共」という科目が新たに必修科目として設置される。そこでは「国や社会とどう関わるのか」を学ぶことが重視されるという。模擬投票、模擬裁判、外交・安全保障についての討論などを取り入れた、主体的な学びが推奨されるらしい。

筆者としては、日本人の(低投票率に限られない)「政治嫌い」と「共助嫌い」の現状、その改善の必要性の有無、また改善するとすれば何が求められるのか、について深く生徒らに考えさせる機会をぜひ設けてほしい、と願っている。

*1 https://www.cafonline.org/about-us/publications/2018-publications/caf-world-giving-index-2018  2019/9/7アクセス。
*2 調査結果は内閣府「令和元年版 子供・若者白書」に収録されている。https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01honpen/pdf_index.html 2019/9/7アクセス。
*3 https://www.gesis.org/issp/modules/issp-modules-by-topic/role-of-government/2016  2019/9/9アクセス。同調査の結果を分かりやすくまとめたものとして、村田(2019)を参照。
*4 日本人の投票以外の政治参加に対する忌避意識については、西澤(2004)、山田(2016)、山本(2019)、富永(2019)などの先行研究が大いに参考になる。
*5 筆者は別稿(坂本・秦・梶原2019)において、NPO・市民活動団体への参加忌避を「政治性忌避」の観点から分析している。http://hdl.handle.net/10112/00017116より全文をダウンロードできるので、併せてご一読いただければ幸いである。
【参考文献】
井手英策.2018.『幸福の増税論-財政はだれのために』岩波新書.
坂本治也・秦正樹・梶原晶.2019.「NPO・市民活動団体への参加はなぜ増えないのかー『政治性忌避』仮説の検証」『ノモス』44:1-20.
富永京子.2019.『みんなの「わがまま」入門』左右社.
西澤由隆.2004.「政治の二重構造と『関わりたくない』意識 : Who said I wanted to participate?」『同志社法學』55(5): 1215-1243.
村田ひろ子.2019.「日本人が政府に期待するもの〜ISSP国際比較調査『政府の役割』から〜」『放送研究と調査』69(7):90-101
山田真裕.2016.『政治参加と民主政治』東京大学出版会.
山本英弘.2019.「社会運動を受容する政治文化-社会運動に対する態度の国際比較」後房雄・坂本治也編『現代日本の市民社会-サードセクター調査による実証分析』法律文化社:226-238.

【謝辞】
本稿は、2017-18年度関西大学若手研究者育成経費および関西大学経済・政治研究所自助・共助研究班(2019-20年度)として受けた研究費を基に行った研究の成果によるものである。