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日産・西川社長を「辞任」に追い込んだ「物言う株主」の正体

生保、議決内容公表の「破壊度」

ブーメランが戻ってきた

遂にというべきだろう。日産自動車は9月9日夜、西川廣人社長兼CEO(最高経営責任者)が9月16日をもって辞任すると発表した。

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同日開いた取締役会で、西川氏を除く取締役が議論、西川氏に辞任を求めることを決め、西川氏はこれを受け入れた。カルロス・ゴーン前会長による背任事件を機に、日産自動車は社外取締役を中心とする新しいガバナンス体制に移行。取締役会が社長のクビを取るという異例の展開になった。

日本経済新聞の報道によると、取締役会から辞任を求められた西川氏は「きょう辞めろと言われるとは思っていなかった」と語ったとされ、事実上の解任だったことをうかがわせる。

 

取締役会が西川氏に引導を渡すことになった直接のきっかけは、西川氏自身の報酬かさ上げ問題だった。SARと呼ばれる株価連動型の報酬を西川氏が受け取った際に、権利行使の日付をずらすことで、本来より4700万円多い金額を受け取っていた。

ゴーン元会長と共に逮捕・起訴された元代表取締役のグレゴリー・ケリー被告が6月に「月刊文藝春秋」で暴露した「疑惑」だったが、日産自動車が行った社内調査で事実関係が認定された。西川氏はSARの行使日についてケリー被告らに任せており、自らが指示したものではなく、ケリー被告らが独断でSARの行使日をずらしたと主張、4700万円を返還した。

取締役会はこの主張を受け入れたものの、経営トップが多額の不正な報酬を得ていた事実は「ガバナンスに重大な問題がある」(取締役会議長で社外取締役の木村康・JXTGホールディングス元会長)として、辞任を求めた。

西川氏はもともとゴーン元会長の腹心で、ゴーン氏が三菱自動車の会長に就任する2016年11月に日産自動車の共同CEO兼副会長に抜擢された。その後、日産自動車も三菱自動車も上場しており、複数の上場企業のCEOを兼務するのは問題があるとの指摘もあり、2017年4月に社長兼CEOとなった。

その後、ゴーン氏の不正を追及する側に回るわけだが、ゴーン被告が保釈中に収録したビデオでは、「私は無罪だ。今起きていることは、陰謀・策略・中傷だ」と述べ、経営陣に追い落とされたと強く非難した。

そのゴーン元会長による報酬の不正を追及していた西川氏自身が、不正な報酬を得ていたことが判明。9月9日の記者会見でも「自分自身にブーメランのように戻って来るとは思わなかったのか」という質問が飛んでいた。