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「羽田新ルート問題」をめぐる“日米密約”が民主主義を破壊する!

国民よ、主権者になれ!

「日米地位協定」と羽田新ルート問題

2019年8月8日、石井啓一国土交通大臣は羽田新ルート計画を正式に決定し「2020年3月29日に運用を始める」と発表した。

なぜ、危険きわまりない都心低空飛行ルートを決めたのか。その原因の1つに「日米地位協定の不平等性」がある。誰もこの点を指摘しないので、ここで述べておきたい。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを名目にして国際線の年間発着枠を3.9万回拡大させるために、都心上空の2つの航空ルートで低空飛行を実施する。これは東京一極集中の総決算であり、大都会(メガポリス)の死を意味する。

過去4年、特にこの1年間の都民の膨大な数の請願、陳情、反対運動、区議会での「反対決議」等に、大手メディアが耳を傾けることは一切なかった。数多い「白紙撤回」の声があげられていたにもかかわらず、ニュース記事として取り上げることがあまりに少なかった。決定後になってようやくその危険性をまともに取り上げるようになった。

改めてマス・メデイアが、低空飛行ルート直下の「一部の人たちの不利益の問題」と捉えていたことを思い知らされた。しかし、問題の本質はそこではない。筆者は、国民全体に関わる日本の「民主主義の根幹の問題」が踏みにじられていると考えている。

沖縄の辺野古基地新設をめぐる問題も同様だが、残念なことに「多くの国民の益のためには一部の不利益はガマンせよ」という国家の論理が背景にある。少数者の人権は無視される。これは数の論理であって正義の論理ではない。

なぜ、このように民主主義を踏みにじる論理が横行するのか。その背後には、「日本が主権を持った真の独立国家なのか?」という根本の問題が潜む。それが、国権の最高法規の憲法よりも「上の法」ーー「日米地位協定」の存在である。

前沖縄県知事の故翁長雄志は、生前に「日本国憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会がある」と言ったが、羽田新ルート問題にもこの問題が背後に横たわっていたのだ。筆者がこれに気が付いたのは、遅まきながらこの1年の羽田新ルート反対の市民活動に深くコミットしてからである。

国交省の住民への接し方が異常であった。言葉では「丁寧な説明」と言うが、現実には、新ルートありきの強引な進め方が度を越していた、つまり尋常ではない、ということを肌身に感じてからだった。

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「日米地位協定」の“密約”の内容に関する研究が近年大いに話題になっている。この米軍と日本国との関係を知れば、誰もが戦後日本に「民主主義はない」と思うだろう。日本は自分のことを自分で決められない国だからである。しかし、これがなぜ「羽田新ルート」と関係するのか?

都心に2本の低空飛行ルートを通す危険極まりない計画案に、横田空域の問題が関係しているということを知らない方も多いのではないだろうか(増便の半分が米国の航空会社分であることも今年になって判明した)。

東京、神奈川、埼玉、群馬……の10県に及ぶ地域の広大な上空は、横田基地の米軍が空域の航空管制を握っているため、羽田空港や成田空港に出入りする民間機は、米軍の許可がなければ空域内を通過できない。そのため定期便ルートを設定できずに迂回を強いられている。

“密約”研究の先駆者・吉田敏浩氏は「日本の空の主権が米軍によって侵害されているのだ。世界的にも異例な、独立国としてあるまじき状態が長年続いている」と語っている。