多くの離婚に関する取材を重ねてきたライターの上條まゆみさんによるFRaU Web連載「子どものいる離婚」。今回お話を伺った小川みのりさん(仮名・43歳)は、かつて大きな問題を抱えていた。薬物依存だ。薬物のみならず、夫への依存、アルコールへの依存、家族への依存……多くの「依存」の原因がわからず、小川さん曰く「もう終わった」という。
誰しも、様々なことに「依存」していることは実は多い。ではその問題を必死で乗り越えた女性は、どのように今を感じ、生活しているのだろうか。
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夫に依存し、薬物に依存し
小川みのりさん(43歳)は、14歳と12歳の娘をもつシングルマザー。22歳から付き合い始めた1歳年上の彼と28歳で妊娠して籍を入れ、3年もたずに離婚した。
離婚の原因は、「私のわがままだったと思います。彼に依存し過ぎて、振り回して、ついには関係を壊してしまった。――実は私、薬物依存症なんです」
みのりさんは10代から薬物にハマり、27歳で幻覚や妄想などの精神病的症状が出て、家族に入院させられた過去をもつ。1年治療を受けて退院。以降、薬物には手を出していないが、薬物とは恐ろしいもので、いったん依存症になると、薬物を使用しなくてもストレスや飲酒などが契機となって症状が出てしまうことがある。
みのりさんの場合は、感情のコントロールができず、彼への依存の度合いが極端になってしまった。
「ただ甘えるのではなく、甘えが高じて怒りとなって、相手に罵声を浴びせてしまうみたいな感じ。離婚したのも、彼の借金が発覚しアタマにきて『出てけ!』と追い出したというだけで、何も考えず、覚悟もなく。ただ勢いだけで届けを出してしまいました」
親に受け入れられないと感じていた
なぜみのりさんは、薬物依存症になったのか。
「子どものころから、親に受け入れてもらえていないと感じていたんです。もともとちょっとひねくれていたり繊細すぎたりするのか、人の言動に傷つきやすい私がいて、それを親に訴えても『(そう受け取る)あんたがおかしい』と言われるばかり。塾で先生に暴力を振るわれ、助けてほしいと頼んだときも無視されて。感情を否定され続けているうちに、自分の感情がわからなくなり、何に対しても無感動になりました。小学3年生のときから、摂食障害も始まりました」
中学に入り、ダンスや歌に興味があったみのりさんは、クラブに遊びに出かけるようになる。そこには年上の仲間がたくさんいて、みのりさんを可愛がってくれた。家にも学校にも居場所がなかったみのりさんには、そこが唯一の居場所となった。
「『やる?』と、ごく自然に薬がまわってきて、初めて薬に出会ったとき久しぶりに『楽しい!』と感じたんです。それでハマってしまいました」