恐るべき「大倒産時代」が到来中の日本で、これから起きること

それはすでに数字にも現れ始め…
加谷 珪一 プロフィール

倒産は過度に回避しない方がよい

オリンピック特需や都心の再開発特需などがあるため、今のところは過剰雇用の問題は顕在化していないが、一連の特需が過ぎ去った後は、人をもてあます建設事業者が増えてくるかもしれない。

運送業界でも似たような動きが見られる。ヤマト運輸は働き方改革を実現するため、顧客に対して2割もの値上げを求め、これを実行に移したが、2四半期連続の赤字となっており、業績はむしろ悪化している。アマゾンをはじめとするネット通販企業が値上げをきっかけに一斉に自社配送網の強化に乗り出しており、ヤマトが受託する荷物の量が減ったことが原因である。

 

ヤマトは次々と正社員を採用し、すでに社員数は23万人に近づこうとしている。だが、ネット通販各社が本格的に自前配送に乗り出した場合、運送会社が必要とする人員は大幅に減少する可能性がある。正社員の場合、簡単に解雇できないので、ヤマトにとっては予想外の負担となるかもしれない。

筆者は冒頭、今後は大倒産時代が到来すると書いたが、現実は少々異なるだろう。今後、日本経済のシュリンクに合わせて倒産は増えてくるが、元請けなど大企業による救済(つまり正社員化)の動きも同時並行で進むので、倒産件数がすぐに増えるという事態にはならないと考えられる。

だが経済規模に比して過剰な雇用であることに変わりはなく、多数の社員を抱えてしまった企業を中心に、どこかのタイミングで経営が一気に傾く可能性があることは否定できない。倒産は当該社員にとっては大変なことかもしれないが、人材の最適配置と経済の新陳代謝を促す効果もある。持続できない企業は、自然の摂理に従って市場から退出させた方が、社会全体の不利益は少ないはずだ。