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人格が変わる、苦しい…飲まなきゃよかった、と後悔することになる薬

あなたは老親に飲ませていませんか?

一度使うとやめられない

「血圧が急激に下がっていて、命の危険がある。昇圧剤を使いましょう」

薬で病気を治したい。それは誰もが望むことだ。しかし、余命わずかな末期の患者となれば話は別だ。

死が近づけば、自然と血圧が下がっていく。余命いくばくかの人の最後の願いは、自然の摂理に逆らわず、安らかに逝くことだろう。それにもかかわらず、患者の状態などお構いなしに、患者を苦しめるような薬を出し続ける医者もいる。

そんな薬の最たる例が、血圧が低下したときに、一時的に命を繋ぎ止めるために使われる昇圧剤だ。永寿総合病院総合内科主任部長の池田啓浩氏は語る。

「終末期の患者に昇圧剤を投与した場合、薬をやめた途端に血圧が下がって死を迎える可能性が高い。薬をやめること自体が患者の死を意味するので、一度薬を使い始めると、やめる決断が難しくなり、次第に量も増えていくのです」

 

死ぬ直前の1~2週間は、ほとんどの人が体がだるいと感じ、食欲不振になる。そうした場合に使われるステロイドにも注意が必要だ。

要町病院の副院長で、緩和ケア・在宅医療のスペシャリスト、吉澤明孝氏はこう話す。

「ステロイドには強い抗炎症作用があります。そのため、一時的に元気が戻り、全身の倦怠感が軽減されます」

ステロイドを使えば、確かに体力をつけることができるが、ただ、一度は元気になったとしても、薬を使うのをやめれば、すぐに疲労感に苛まれ、元の状態に戻ってしまう。いわば、ステロイドに依存して、命を生き長らえさせている状態になるのだ。

「ステロイドを大量に使い続けると、副作用でうつや躁状態、不眠になりやすい。
また、自らの免疫作用が抑えられるため、感染症に弱くなって、誤嚥性肺炎や排尿障害や頻尿を引き起こす尿路感染症にかかる可能性があります」
(吉澤氏)

ステロイドで一時的に元気を取り戻したとしても、あくまで期間限定の症状緩和にすぎず、寝たきりの人が立ち上がれるようになるわけではない。

ステロイドの副作用を抑えるために、向精神薬や、抗菌薬など他の薬を飲む必要が生じるぐらいなら、最初からそんな諸刃の剣の薬は使わないほうがいい。