2019.09.12
# ライフ # 心理学 # ストレス

「家にいるのに帰りたい…」と感じてしまう不思議な心理の「正体」

言葉では説明しづらい“あるある”
西多 昌規 プロフィール

「帰りたい」という思いを否定する必要はない

「家に帰りたい」という気持ちへの対策だが、そもそもこう思ってはいけないのだろうか。先述した近年の働く環境の目まぐるしい変化を見ると、わたしはこの気持ちを、無理に消し去る必要はないのではないかと思っている。

自分が落ち着ける「居場所」に戻りたいというのは、自然な心理である。高度成長期やバブル時代など一昔前ならば、家よりも職場が「居場所」という人も少なくなったと思う。しかし、今は時代背景が異なる。職場が自分の居場所であると感じている人は減っているだろうし、そういう人は総じて幸福度が低い。

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仕事は、誰しも好きでやっているわけではない。できれば、休みは多いほうがいい。そう考え、たとえ朝から「帰りたい」と思う自分があっても、それを否定しないことがベターである。「日内変動のせいだから行けば元気になってくる」ぐらいに思えれば、上等だろう。

もちろん、遅刻や欠勤などが増えてくれば、そうも言っていられなくなる。抑うつ状態が疑われ、医療のサポートが必要になってくる。そうならないためにも、他人としゃべる、睡眠時間を確保する、自分なりの気分転換、適度な運動といったメンタル面でのセルフケアも大切だ。

また、働き方改革関連法の改正で、会社には「年休を取らせる義務」が発生している。会社からの指示で有休を取るより、自分の意思や計画に基づいて有休を取る方が、自己効力感が高まり精神衛生上は好ましい。有休の有効な使い方を考えるのも疎かにしないことだ。

 

冒頭の『サボリ先輩』の主人公・沙保里先輩は、常に前向きであり自己効力感に満ちている。現実にこのような社員が大勢いたらとんでもないことだが、見習う部分は少なくない。朝に「早く帰りたい」と思えば、実際に早く帰るよう努力・工夫するというのが、理想的と揶揄されるかもしれないが、目指すべき方向だろう。

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