# 倒産

福井が誇る老舗企業を倒産させた「チャイナリスク」の恐怖

海外進出に油断は禁物
帝国データバンク情報部 プロフィール

順風満帆でもリスク管理を

「チャイナリスク」は、江守グループホールディングスだけに当てはまる話ではない。

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たとえば、この頃ある大手住宅設備メーカーグループでは、中国での取引に関して海外連結子会社への特別監査が必要となったために、決算発表を延期した。

人件費の高騰や経済の減速などを背景に、中国工場の閉鎖や中国市場からの撤退を余儀なくされる日本企業も後を絶たない。さらに繊維や食品に代表される輸入業では、原材料価格の高騰や急速な円安から、採算性が悪化しているというのも周知の事実だ。

江守グループホールディングスは、決算発表のあった2015年3月16日以降、メインバンクなどを中心に資金の工面を行なったが、4月30日に民事再生法の適用を申請。持ち株会社である同社の負債は、金融債務と子会社向け保証債務を中心に約711億円と、2015年の最大規模となった。

ただ、民事再生はプレパッケージ型、つまりスポンサー支援を取り付けたうえで民事再生を裁判所に申し立てるものとなり、名門の底力を見せた。

 

スポンサーに手を挙げたのは、近年、M&Aに積極的な名古屋の名門企業・興和を中心とした興和グループの興和紡と、数々の再生案件を手がける投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズだ。

早期のスポンサー選定で、江守商事などのグループ事業会社は存続することとなり、長年守り続けてきた「江守」の看板と、取引先との信頼関係は守られることとなった。

企業の成長において、チャンスは積極的にとりに行くという攻めの姿勢は欠かせない。

しかるべきタイミングに事業を拡大し、業績を伸ばし、会社を大きくしていく。経営者ならば誰もが考えることだろうが、事業が拡大すればするほど、リスク管理の重要性は否応なく増す。

もちろん海外の市場を100%予測することなど不可能だ。しかしだからこそ、順風満帆でも事業を取り巻く環境を、経営者は常に注視しておく必要があるのだ。