# 倒産

福井が誇る老舗企業を倒産させた「チャイナリスク」の恐怖

海外進出に油断は禁物
帝国データバンク情報部 プロフィール

追い詰められた江守中国

たとえば、A社がB社から前払いで商品を仕入れる際に、江守中国が間に入ってB社に前払いをし、A社は90~180日のサイトで、代金にマージンを上乗せした額を江守中国に支払う。

Photo by iStock

つまり江守中国がまずA社に代わって立替え、90~180日間のリスクを負担する代償としてマージンを得るというわけだ。一方、C社がD社に販売をする際に江守中国が間に入ると、D社からの回収リスクをC社の代わりに江守中国が負ってくれることとなる。

江守中国は、このような商社金融を取引先に活用してもらうことで、中国での売上拡大に寄与し、右肩上がりの業績を確保していた。当然、江守中国としても取引信用保険の活用や担保を確保することによって、リスク回避に努め、債権保全を図っていた。

しかし、取引額が増加していくにつれ、江守中国の債権保全は甘くなっていく。社内で設定されている与信枠が順守されずに、取引先の信用以上の額の取引をするケースが散見し、取引先の担保の評価もあいまいなものが増加した。

 

そんな中、不幸にも、大口顧客数社が中国の金融引き締め政策の対象となったことと、中国の経済成長が減速したことが重なり、大口顧客の資金繰りは急速に悪化する。

そのため江守中国の売掛金は膨張し、とたんに運転資金不足に陥った。それを補うために江守中国の外部借入れは増加し、債務保証額も急増していく。

これに加えて、取引信用保険の保険契約上の義務違反により、保険金の支払いがされないケースが発生したことで、同社による中国での取引を調査するに至っていた。こうした数々の“事情”によって、中国ビジネスに見いだしていたチャンスが一転、リスクとなって降りかかったというわけである。