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福井が誇る老舗企業を倒産させた「チャイナリスク」の恐怖

海外進出に油断は禁物
帝国データバンク情報部 プロフィール

「チャイナリスク」の発覚

また同日には、内部コンプライアンス委員会等による調査報告も公表された。そこでは中国子会社の元総経理が、会社の承認を得ずに親族経営会社と取引したことにもメスが入り、過年度にさかのぼって決算の修正を余儀なくされた。

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以上、多額の貸倒引当金計上による債務超過転落と、元中国総経理のコンプライアンス違反の発覚により、江守グループホールディングスの信用は大きく毀損したのである。

その当時の1~2年、巷では「チャイナリスク」という言葉が聞かれるようになった。

経済成長著しく、また人件費の安い中国に積極的に進出した企業は少なくない。それは日本企業に限った話ではなく、当時の中国は「世界の工場」と呼ばれていたほどである。

しかし近年になると、中国企業や中国の労働者のコンプライアンス意識の低さや、労働力の質の低さなどが露呈し、利益を生むはずだった中国進出が、リスクに転じる可能性が指摘されるようになった。これがチャイナリスクである。

 

江守グループホールディングスの決算報告は、まさにこのチャイナリスクが顕在化したものだったといえる。

では、江守グループホールディングスが、約462億円にもおよぶ巨額の貸倒引当金を計上するに至った原因は何だったのか。

3月16日に発表された外部弁護士事務所の調査報告書によると、主たる原因は、中国を営業拠点とするグループ会社数社(以下、江守中国)のビジネスモデルにあったという。

江守中国は主に信用付与、いわゆる「商社金融」(商社が、商品の代金支払い猶予期間を通じて実質的に融資を行なうこと)によって、主要取引先との取引を行なっていた。

この形式だと、取引先が仕入れや販売を行なう際に、江守中国を商流に入れることで支払いサイトの長期化や、債権回収リスクの回避を行なうことができるようになる。