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# 倒産

福井が誇る老舗企業を倒産させた「チャイナリスク」の恐怖

海外進出に油断は禁物
染料などのケミカル関連商材から、食料品にまで業容を拡大し、飛躍的な成長をとげていた福井の老舗企業、江守グループホールディングス。一時は飛ぶ鳥を落とす勢いで海外進出を果たしたにもかかわらず、なぜ一転して上場廃止へと追い込まれてしまったのか。著書『倒産の前兆』がある企業信用調査会社「帝国データバンク」が、その理由に迫った。

順風満帆だった海外進出

江守グループホールディングスは、福井が誇る老舗企業だった。

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1906年に創業した薬種商、江守薬店の流れを汲み、1958年に法人改組。事業内容としては、染料、テキスタイル、フッ素化合物やグリセリン、エタノールなどの各種化学品といった、ケミカル関連商材を中心に取り扱っていた。

その後は合成樹脂や電子材料、電子デバイス、金属資源、食料等に事業領域を拡大する。

国内での事業が中心だったが、1983年に香港に進出すると、1994年には中国に海外拠点を設置。その後はシンガポールやインド、タイ、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、ベトナムなどアジア圏を中心にネットワークを構築し、国内11社、海外14社のグループを形成していく。

2004年にジャスダック、2005年には東証二部へ上場、さらに2006年には東証一部上場へ指定替えする。2010年3月期に約657億600万円だった連結売上高は、2014年3月期には約2089億2600万円まで伸長。中国における事業拡大の成功が、業績を押し上げたかたちである。

 

こうして押しも押されもせぬ名門企業となった江守グループホールディングスは、2014年4月、グループ再編を行なうため、会社分割の手法により全事業を江守商事に承継させ、純粋持ち株会社に移行。拡大するグループ企業の株式保有と資金分配、事業統括を担うこととなった。

中国で売上を伸長させ、まさに順風満帆。そんなグループ経営の綻びが表面化したのは2015年2月6日のこと。2015年3月期の第3四半期決算提出を延期すると発表したのだ。

突然の発表に数々の憶測が飛び交う中、およそ1カ月後の3月16日に、ようやく第3四半期決算が発表される。その内容は、中国取引での約462億円の貸倒引当金(債権の回収不能によって損失になる可能性のある金額)の計上と約234億円の債務超過転落という、関係者を大いに驚かせるものだった。