# 地方創生

「ポンコツ経営者」と「おかしな公務員」が地方再生で大活躍するワケ

種をまき、草木は生い茂った
山田 崇, 吉田 基晴

吉田 ベンチャー誘致や移住の担当者が、相手に関心をもっていない。誰かを口説こうと思ったら、普通はどんな食べ物が好きかとか、趣味は何かとか、誕生日はいつかとか、相手のことを調べますよね。なぜ興味をもたないのか不思議です。

山田 その人と向き合っていないわけですね。KPI(業績評価指標)ばっかりで。

吉田 私は誘致される側から、誘致する側に回った。「ミイラがミイラ取りになった」みたいな話なんです。そんな人間から見ると、なんとも乾燥した手でベンチャー企業を触っているように見える。もっと相手に関心をもってほしいんですよ。何社なんて名前の会社はないんだから。

 

山田 数字で見ている公務員が多いというのはわかる。新しい移住体験プロジェクトの話をしましたけど、よくある移住定住企画では、KPIが、その地域に何人、就職したかなんですよ。いやいや、目の前の人に満足してもらったかどうかで評価すべきですよね。

吉田 数値目標とかKPIとかじゃなくて、目の前の人や会社と向き合って、自分の言葉でしゃべってほしい。空き家も、移住促進も、ベンチャー誘致も、みんな同じことですよ。

山田 私も、自分で空き家を借りる経験をしてみて、ようやく当事者としての言葉で語れるようになった気がします。

吉田 それはやっぱり「自分事」になったからだと思うんです。山田さんみたいに自ら現場に飛び込んで、自分の言葉を身につける。そんな「おかしな公務員」が一人でも増えたら、周囲も自然と巻き込まれていくし、地域もどんどん変わっていくと思います。

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山田 崇(やまだ・たかし)
1975年長野県塩尻市生まれ。千葉大学工学部応用化学科卒業。現在、塩尻市役所 企画政策部 地方創生推進課 地方創生推進課係長(シティプロモーション担当)。空き家プロジェクトnanoda代表、信州大学ローカルイノベーター養成コース特別講師/地域ブランド実践ゼミ、内閣府地域活性化伝道師なども務める。
著書に『日本一おかしな公務員』(日本経済新聞出版社)

吉田基晴(よしだ・もとはる)
1971年徳島県海部郡美波町生まれ。神戸市外国語大学卒業後、複数のITベンチャー勤務を経て2003年セキュリティソフトの開発販売を手がけるサイファー・テック株式会社設立に参画し、後に代表取締役就任。新たなワークスタイルの実現と採用力の強化を目的に2012年徳島県美波町にサテライトオフィス「美波Lab」を開設し、翌年には本社も移転。2013年6月に株式会社あわえを設立、同代表取締役就任。自らの体験を活かし、行政や地域住民と共に企業・起業誘致や定住支援をはじめとした地域振興事業に取り組む中で、2016年より美波町参与を拝命。2018年からは県南部1市4町からなる徳島南部地域DMO代表副理事もつとめている。著書に『本社は田舎に限る』(講談社+α新書)がある。