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# 地方創生

「ポンコツ経営者」と「おかしな公務員」が地方再生で大活躍するワケ

種をまき、草木は生い茂った
最近は、地方の衰退にまつわる暗い未来が取沙汰されることが多くなっている。そうしたなか、長野県塩尻市の地方公務員である山田崇氏と、徳島県美波町に本社のある経営者の吉田基晴氏は、人口減少が著しい「自分の田舎」にメスを入れ地元を沸かせた「再生人」として同じ問題に取り組む人々から大注目を浴びている。
立場は違えど、彼らふたりの根底にあるのは「地方を元気にしたい」というひとつの思い。それを原動力に両者ともにこれまでユニークな施策でトライアンドエラーを繰り返しながら歩んできた。地元の再生請負人として大活躍する二人が語る「人を巻き込む」地方再生の方法を語ってもらった。


●第一回目はこちら:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67053
●第二回目はこちら:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67098

鳥の目と蟻の目

山田崇(以下、山田) 自分がやりたい事業を続けていくためには、それなりの工夫が必要ですよね。私の場合、長期的に結果を出すのと同時に、瞬間瞬間にも成果を見せなきゃダメだなと思っていて。

吉田基晴(以下、吉田) たしかに車の両輪ですよね。短期で得られる報酬がないと、来年に続かない。「タバコやめたら、10年後に家建ちます」と言われてもピンとこなくて、「いまタバコやめると、超健康になるよ」とか「タバコやめると、明日、彼女できるよ」とか言われてはじめてやる気が出る。

山田 MICHIKARAにしても、予算化して塩尻市の政策になるのは、早くて半年後なんです。でも、超短期で「有名企業のエリート社員たちが2泊3日の研修にくる」「東京の大学生たち30人がインターンで1週間くる」と言えば、それだけで塩尻市のプロモーションになるから、理解が得やすい。瞬間の成果も必要なんです。鳥の目と蟻の目の、二つの視点が不可欠だと思っています。

吉田 それはまったく同感だなあ。

塩尻のぶどう農家を訪れた「人に会いに行く旅」の参加者(『日本一おかしな公務員』より)

山田 二つのことが言えなきゃダメだと思うんです。国に対しては、何を求められているかは理解していますと。その一方で、自分たち地域の人間としてはこういう思いがあって、こういうことがやりたいんだと。

吉田 全国の自治体職員さんたちとお会いしますが、成功するところには、必ず「自分を主語にして話せる人」がいる。

 

山田 そうなんです、そうなんです。自分の言葉でしゃべれるかどうか。「国に言われたから」「上司に命じられたから」じゃなくて。

吉田 いったん動き出せば、ローリングストーンのように状況は一気に変わっていく。だから、動き出すかどうかがポイントになるんだけど、移住者がトリガーになるケースが多いんですよね。不思議なことに。

山田 移住者は地域とは別の言葉をもっている。地域の言葉とのすり合わせをやるなかで、自分の言葉が磨かれるのかもしれないですね。

吉田 僕自身、「美波町のために」なんて感覚はゼロでした。採用難を解決するために話題作りしようと、美波町にオフィスを作っただけなんです。それが、いまでは美波町を元気にすることを考えたり、日本全国の地域を元気にすることを考えている。

僕みたいなポンコツが変われたということは、誰でも変われる。どこの地域でも変革が起こせる。その部分は確信に近いものをもっています。