# 地方創生

人口わずか6400人の町に「本社を置きたがる」企業のホンネ

チャンスは地方のほうが多い
山田 崇, 吉田 基晴

山田 それは同感ですね。美波町の6400人に比べたら、塩尻市の6万7000人は大きい。でも、私の活動は住民2300人の大門商店街に絞り込んでやった。誰が商店街の理事長で、誰が元理事長で、誰が区長でとか、全部見える世界ですよ。

吉田 いきなり6万7000人を対象に始めていたら、失敗していたかもしれませんね。

山田 そう思います。2300人の商店街に、2012年からの4年間で9人も若者が移住してきたんです。でも、塩尻市全体の中で9人と考えると、埋もれちゃう。若い子ほど6万7000人をターゲットにしがちなので、「いや、そうじゃないよ」と。

 

吉田 そういう「小さきものの価値」を、もっと伝えていけたら、田舎の魅力も増すと思うんです。僕自身がそうですけど、都会でできなかったことが、田舎でできるようになったわけですから。美波町にベンチャー企業が続々と集まってきているのは、「海を見ながらゆったり仕事をしたい」なんて話じゃなくて、「チャンスは地方にこそある」と彼らが考えているからなんです。

<つづく>

***

山田 崇(やまだ たかし)
1975年長野県塩尻市生まれ。千葉大学工学部応用化学科卒業。現在、塩尻市役所 企画政策部 地方創生推進課 地方創生推進課係長(シティプロモーション担当)。空き家プロジェクトnanoda代表、信州大学ローカルイノベーター養成コース特別講師/地域ブランド実践ゼミ、内閣府地域活性化伝道師なども務める。著書に『日本一おかしな公務員』(日本経済新聞出版社)

吉田 基晴(よしだ・もとはる)
1971年徳島県海部郡美波町生まれ。神戸市外国語大学卒業後、複数のITベンチャー勤務を経て2003年セキュリティソフトの開発販売を手がけるサイファー・テック株式会社設立に参画し、後に代表取締役就任。新たなワークスタイルの実現と採用力の強化を目的に2012年徳島県美波町にサテライトオフィス「美波Lab」を開設し、翌年には本社も移転。2013年6月に株式会社あわえを設立、同代表取締役就任。自らの体験を活かし、行政や地域住民と共に企業・起業誘致や定住支援をはじめとした地域振興事業に取り組む中で、2016年より美波町参与を拝命。2018年からは県南部1市4町からなる徳島南部地域DMO代表副理事もつとめている。著書に『本社は田舎に限る』(講談社+α新書)がある。