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「授業料無料+生活費支給」で米国の大学院で学べます!そのカラクリ

「お金」から考える日米大学院のちがい
学問の未来を担う大学院生。日本では大学生と同じように授業料を支払ってその立場を手に入れることが一般的ですが、アメリカではどうやら違うよう。なんとアメリカでは大学院生が授業料を負担する必要がないばかりか、月20~30万円ほどの生活費までもらえてしまうのです。

日本とアメリカ、どうしてこんなにも違うのか。アメリカの大学院のフトコロ事情に潜入してみます!

僕はこうして留学を決めた

僕は日本の大学を卒業後、アメリカに留学してPhD(博士号)をとり、NASAのジェット推進研究所を経て、今は民間企業で再利用型のロケットの開発に取り組んでいる。

ファルコン9左:著者、右:是永淳氏(イェール大教授)
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多くの人と同様に、留学に対する漠然とした憧れは、僕も大学に入る頃から抱いていた。アメリカに住んでみたい、英語がペラペラになりたい、できることならいつかNASAで働いてみたい。

そんな憧れが現実的な目標に変わるきっかけになったのは、大学3年生の冬、当時所属していた東京大学・航空宇宙工学科の掲示板に貼られていたビラだった。いつもは素通りしていた掲示板だが、そのときはなぜか1枚の貼り紙が目に留まった。

「年明けの1月にマサチューセッツ工科大学(MIT)で行われる東大のシンポジウムに、研修として参加したい学部生を20名程度募集。旅費・滞在費は大学負担」。初のアメリカ、しかもMITにタダで行けるなんて……! このチャンスを逃すわけにはいかない、と即決で応募し、同行できることになった。

1週間ほどの滞在のある日、MIT日本人会(おもに留学中の日本人大学院生や研究者が所属する集まり)の方々との会食の機会があった。僕が座ったテーブルには、当時MITのPhDコース卒業間近の是永淳さん(現イェール大学教授)がいた。僕はかねてから抱いていた、留学についての疑問をぶつけてみることにした。

「留学にお金はどのくらいかかるんですか?」

すると、是永さんから「日本ではあまり知られてないのですが、研究に力を入れているアメリカの理系大学院に留学する場合、まずお金はかかりません。ほとんどの学生は授業料を払う必要がないし、生活費ももらえますよ」との回答。目から鱗が落ちるようだった。

留学に、お金がかからない!? Photo by iStock
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「お金はかかりません」──その意味をかみしめるにしたがって、留学しないことが、むしろ不自然な選択にさえ思えてきた。漠然とした留学への憧れがいっきに明確な目標へと変わり、帰国してからは本格的に留学準備に取り組みはじめた。

翌年の春には、無事にいくつかの大学院から合格をもらうことができ、最終的にはもともと興味をもっていた先生のいたMITに行くことにした。

あれからもう20年近くたつ。いま思えば、あのMITでの会食が僕の人生を変えた瞬間だったといっても過言ではないだろう。

授業料も生活費も出してもらえるカラクリ

大学院が無料になるカラクリを説明しよう。アメリカでは、教授が獲得した研究費で大学院生を養うのがふつうなのである。