トランプが日本に「トウモロコシ」を買わせたがる理由

全ては再選までの「つなぎ」か…?
海野 素央 プロフィール

米国産牛肉と豚肉のみならず、中国の輸入関税で輸出ができなかった飼料用の米国産トウモロコシも、日本が大量に輸入することになりました。トランプ大統領には日米貿易交渉で、日本に中国の「補完役」をさせるという意図があったといえます。

加えて、トランプ大統領は日本を「つなぎ役」としても見ているフシがあります。

トランプ大統領は「中国は合意したがっている。米国は準備ができていない」と繰り返し述べるのは、今はトランプ大統領の政治日程と照らして、合意をするにはあまりにも早急であるからです。再選を狙う大統領は、来年の投票日である11月3日まで「反中国」の支持者をつなぎ留めていく必要があります。

そこで「つなぎ役」として日本を利用し、成果を上げるシナリオを描いているようなのです。トランプ大統領が自国の自動車関税撤廃を見送り、交渉を継続させた理由はそこにあります。

Photo by gettyimages

トランプ大統領にとって、日本から輸入する自動車に対する追加関税や輸出数量制限は「交渉カード」のみならず、支持基盤の一角を成す労働者の心をつなぎ留めるための「政治的道具」になっています。「支持者ファースト」のトランプ大統領が、投票日までのどこかの時点で、日本車に対する追加関税発動や輸出数量制限実施に踏み切っても、まったく不思議ではありません。

 

サミット「プーチン復帰」の思惑

フランスでのG7サミットの記者会見で、次の議長国であるトランプ大統領はサミットにプーチン大統領を復帰させる意向を示しました。しかし、プーチン大統領をサミットに招待すれば、トランプ大統領にとって来年の大統領選挙においてマイナス要因になる可能性があります。

というのも、米情報機関によれば、ロシアが前回の大統領選挙に介入したことは事実だからです。民主党大統領候補指名争いにおいて、カマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州)は「トランプはロシアの選挙干渉を断定した米情報機関ではなく、プーチンを信頼している」と批判しています。

にもかかわらず、トランプ大統領はプーチン大統領のサミット復帰に非常に前向きな姿勢を示しています。まず、記者会見で「議題がロシアに関わるものがある」と述べました。

次に、トランプ大統領はバラク・オバマ前大統領を持ち出して、プーチン大統領のサミット復帰を正当化することに時間を費やしました。トランプ大統領は「プーチンはオバマよりも賢い」と言うのです。加えて、「オバマはプーチンの方が一枚上なので、彼(プーチン)をサミットから外した」とも主張しました。実際には、ロシアは2014年のクリミア半島併合でG8から除外されました。