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出版不況でも小学館の雑誌「幼稚園」がバカ売れするヒミツ

商品の「真の顧客」を考える
古田 拓也 プロフィール

「幼稚園」が捉えたターゲットの「外縁」

この点、「幼稚園」は巧みなターゲット戦略を取っているといえそうです。その理由は、「幼稚園」のターゲットを幼児だけでなく、その外縁にいる保護者の大人をもターゲットとしているからです。

 

通常、私たちがイメージする顧客像は、無意識のうちに「その商品に最も近い人」と想定してしまいがちです。

しかし、幼児向けの雑誌は幼児の読み物である以前に、保護者にとっての知育教材でもあるという側面を見逃してはなりません。

それ以上に重要なことは、実際にお金を出して購入するのが幼児自身ではなく保護者であることです。

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このように考えると、「幼稚園」の真のターゲットは幼児の外縁に存在する保護者の大人といっても過言ではありません。

コンテンツ面で同質化しやすい幼児向け雑誌の中で大人の目を引くものといえば、やはり大人たちにとって馴染み深いコンテンツではないでしょうか。

コンテンツの切り分けという面から見ても「幼稚園」は巧みです。

幼稚園の紙面そのものは幼児向けのテイストを維持しつつ、大人と幼児が一緒に遊ぶことを想定している付録部分については、大人にもなじみやすい題材を起用しています。

付録部分の組み立て難易度は他誌と比較して高く設定されているようです。

これも、大人と幼児が付録の組み立てを通じて自然にコミュニケーションが発生するための仕掛けなのかもしれません。

このように、ターゲットの外縁に存在する人々は、今のコンテンツの根幹となる部分をずらすことなく、市場を広めるための新たなターゲットになる可能性があるのです。