小学館「幼稚園」公式サイトより
# 雑誌

出版不況でも小学館の雑誌「幼稚園」がバカ売れするヒミツ

商品の「真の顧客」を考える
今、書店でも売り切れが続出するくらい人気のなのが、小学館が発行する雑誌「幼稚園」。この少子化時代に、なぜ幼年誌が売上を伸ばすことができたのか? その背景には、顧客のターゲティングの妙があると、1級FP技能士の古田拓也氏は指摘する。はたして、「幼稚園」の真の顧客とは誰なのか?

「出版不況」トレンドを跳ね返す売れ行き

もし書店の幼児向け雑誌コーナーで不自然に空いたスペースを見かけたら、そこには小学館の幼児向け雑誌である「幼稚園」が収まっていたスペースかもしれません。

今年で創刊88周年となる小学館の「幼稚園」は、セブンティーン・アイスクリームの自動販売機やセブン銀行ATMといった、幼児向け雑誌のイメージからかけ離れた付録がSNSを中心に話題となり、人気を博しています。

 

筆者が8月中旬に足を運んだ都内の書店では、他の幼児向け雑誌を抑えて「幼稚園9月号」が売り切れ状態となっており、追加の取り寄せも不可能な状態でした。

日産フェアレディZのトミカが付録となった最新号の「幼稚園10月号」も、筆者が訪れた都内数店舗の書店のうち、発売翌日の時点ですでに売り切れとなる店舗もあるほどでした。

「幼稚園」を発刊する小学館といえば、少子化や紙離れ等のあおりを受けて、相次いで小学生向けの雑誌が休刊とに追い込まれたことが記憶に新しいでしょう。

2010年の「小学五年生」と「小学六年生」の休刊を皮切りに、他学年向け雑誌も追うように休刊となりました。

2016年12月に「小学二年生」が休刊となってから、残る小学生向け雑誌は「小学一年生」と、全学年向けの「小学8 年生」のみとなっています。

一般社団法人 日本雑誌協会が2019年9月3日付で発表した、「印刷証明付き部数」によれば、「幼稚園」が属する「子供誌」ジャンルの発行部数は、全般的に下落基調となっていました。

その中でひときわ目立つのが、「幼稚園」の最新発行部数です。

ここ1年の「幼稚園」発行部数は、四半期ごとに7万5,000部程度で推移していました。

しかし、セブンティーンアイスクリームの自販機が付録となった7月号を含む4~6月期の発行部数は8万8,333部と、前月比で17%以上の増加を示しています。

この数値には、セブン銀行ATMが付録となった「幼稚園9月号」や、日産フェアレディZのトミカが付録となった「幼稚園10月号」は含まれていません。

足元のSNSにおける人気度から考えても、「幼稚園」はこの四半期にも大きく発行部数を延ばしている可能性があります。

業界全体が「出版不況」と囁かれる中で、「幼稚園」が躍進できたのはなぜでしょうか。