超電導リニアの試作車MLX01(リニア・鉄道館、筆者撮影)

夢のリニア中央新幹線、乗ってみてわかった「実現への不安」

まだ道のりは長そうだ

それは、一瞬の出来事だ。5両編成の試験列車が、遠くに見えるトンネルの出口から突然現れると、「ゴオオ」という音を響かせながら接近。「シューン」と音を立てて、目の前を1秒弱で通過し、反対側のトンネルに勢いよく吸い込まれる。

これは、超電導リニアの「営業線仕様」の車両(L0系)が、時速500kmで山梨実験線を走行し、山梨県立リニア見学センターの前を通過したときの様子だ。

 山梨実験線を疾走するL0系(筆者撮影)

現在建設中の中央新幹線が完成し、予定通り超電導リニアが導入されれば、世界最速の営業鉄道がふたたび日本で誕生するだけでなく、日本の全人口の約半分が集中する三大都市圏が約1時間で結ばれる。それらがもたらすインパクトに期待をする人は、少なからずいるだろう。

こうした概要は、中央新幹線を建設するJR東海がすでに明言しており、国が工事を認可しているので、今更疑うのは野暮だと言われるかもしれない。

しかしだからこそ、あえて疑ってみたい。この計画の肝となる超電導リニアは、本当に実現できるのだろうか。実際に試乗して考えてみた。

 

振動が気になる

今回試乗したのは、冒頭で紹介したL0系だ。抽選倍率が高い一般応募に申し込んだので、チケットの入手に時間を要し、今年8月になってようやく乗ることができた。

じつは、筆者が山梨実験線で乗車体験をするのは、今回が2回目である。1回目は、15年前の2004年で、L0系の前代に当たる試作車(MLX01)を試乗した。

試作車は、お世辞にも乗り心地がよいとは言えず、実用化にはほど遠いものだった。試乗してとくに気になったのは、車体の振動だ。

車輪走行では、航空機が滑走路で離陸せずに走り続けているかのように、走行路の凹凸を拾って車体が「ガタガタ」と音を立てて震えた。浮上走行に入ると、振動は小さくなるものの、時速500kmまで加速すると車体が「ゴゴゴ」と音をたてて激しく震え始めた。通路で立って歩くのは明らかに困難だった。