「もうダメなのかもしれない」 

治療3年目にあたる2017年半ば以降は、「もうダメなのかもしれない」という思いが何度も頭をよぎり、不妊治療の止め時を考え始めていた。治療開始から採卵は15回以上にも及び、移植は10回したものの妊娠には至らず。統計的にも6回目の移植までは妊娠率が上がっていくが、その後は移植を繰り返しても妊娠率は頭打ちになるということが示されている。

私の場合、これまでに生活改善の自助努力をしつつ、不育症の精密検査も受け、軽度弓状子宮の所見に基づく外科的手術も受けた。さらに病院に薦められたオプション治療も一通り試しており、もう「今周期は治療方法がたまたま合わなかっただけ」では説明がつかないことは本人が一番よく分かっていた。

また、先生からも「これといった原因は見つからないし、考えられる手は全て打ってきているので、卵子の質としか説明しようがない」と、もはや新たな治療提案は出てこなくなってきていた。

 「海外で卵子提供を受ける」という選択肢

2018年5月にS産婦人科で、直近実施した2段階胚移植の結果が陰性であったことを告げられた際に、院長先生からこう切り出された。
「このまま、質の良い卵子が出てくる周期まで今までと同じ治療を続けるということもできるけど、海外で卵子提供を受けるという選択肢もありますよ」
「ああ、遂に万策尽きてしまったのだな」と冷静に受け止めつつも、卵子提供を受けてまで子供が欲しいかどうか自分の覚悟の程が分からず、「はい、考えてみます」とだけ答えて診察室を後にした。

この時は結局、自己卵子での治療を諦めきれず、高刺激法での治療成績が良いと評判のTクリニックへ転院したのである。

その後卵子提供について調べてみると、日本ではまだ法整備が進んでいないため国内で提供を受けることは極めて困難であること、最近では米国に加えて台湾で卵子提供を受ける日本人女性が増えていること、卵子ドナーの年齢が若いので40歳を超えて治療を受けても妊娠率は高いこと、などが分かってきた。

まだ日本国内での自己卵子での治療に一縷の望みをかけていた私に、上司から台湾駐在の打診があったのは2018年も夏を過ぎた頃だった。この瞬間に「台湾で卵子提供を受ける」という選択肢が俄かに急浮上してきたのである。「もしかしたら、こういう宿命だったのかしら?」スイッチが入るとはまさにこのことで、ここから一気に台湾のコウノトリ生殖医療センターの卵子ドナー申し込みまで突き進むことになる。

次回は9月25日公開予定です。