子どもが授かるということは、欲しくても必ずという保証はありません。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、子どものいない夫婦の55.2%が不妊を心配し、不妊の検査や治療を受けたことがある、または現在受けている夫婦は全体で18.2%、子どものいない夫婦では28.2%。つまり6組に1組の夫婦が治療をしているのです。

さらに、女性には仕事との両立という問題もあります。現在不妊治療に挑む夫婦のアンケート調査では、その治療をするために退職せざるを得なかったという答えも多くあります。

米系大手ヘルスケア企業の台湾法人にて社長をつとめる新垣りえさんは、キャリアを積み、充実した仕事をしながら、不妊に悩む一人でした。37歳から3年以上にわたる不妊治療の末、卵子提供を受けるという決断をし、現在妊娠しています。FRaU Webにてその実体験を率直に綴っていただく連載第1回は、日本での不妊治療ののち、台湾での卵子提供治療を決断するまでのことを伝えてもらいます。

「23歳の卵子の力ってすごい!」

今年の3月10日、台湾の自宅で手元のスマホを見ながら、「23歳の卵子の力ってすごいなぁ」と笑いながら独り言をしていた。台湾のコウノトリ生殖医療センターのアプリ上で、6日前に夫の精子を授精させた卵子の培養結果を見ていたのである。匿名の台湾人女性から採取されしばらく凍結されていた20個の卵子は、解凍され、15個が正常受精卵となり、しばらくの培養ののち、9個が良質な胚盤胞まで育っていた。その結果通知が、写真とともにアップされているのだった。

クリニックが運営するアプリで見られる、新垣夫妻の受精卵培養の様子と結果。右の画面で9個が胚盤胞育って凍結保存されたと書かれているのがわかる 写真提供/新垣りえ

日本で3年以上にわたり自分の卵子を使って高度不妊治療を続けてきた私は、採卵や顕微授精の結果が芳しくない時や、受精卵を移植しても妊娠判定が陰性の時に、幾度も「妊娠まで至らない主な要因は卵子の老化」という説明を受けてきた。昨年末に、41歳を目前にして台湾への駐在が決まったことをきっかけに、日本での自己卵子での治療に区切りをつけ、台湾で20代のドナーから提供いただいた卵子を使っての顕微授精に踏み切ったのである。

1回の挑戦で9個も妊娠確率の高い良質な胚盤胞が獲得できたという、想定を遥かに上回る結果に驚嘆すると同時に、今までどうしても自分自身のこととして受け止めることができなかった「卵子の老化」という現実が、妙にストンと腹に落ちた瞬間だった。