Photo by iStock

病院へ拉致され「不妊手術」をされた元ヤクザ・小島喜久夫さんの絶望

「当たり前でしょ。障害者なんだから」

2018年の初めごろから、メディアが盛んに報じるようになった優生保護法(1948~1996年)による「障害者」への強制不妊手術。日本では、おぞましい優生思想が戦後も生き残り、約2万5000人(「同意を得た」とされているものも含む)が子どもを作れない体にされてきた。

この問題は、私が所属するジャーナリズムNGOワセダクロニクルの探査報道が口火となり、報道が拡大した。取材を進めるうちに、強制不妊の被害は精神障害や知的障害がない人にまで及ぶことがわかってきた。

「面倒なやつ」

そのような周囲の評価だけで「精神疾患」というレッテルを貼られ、精神科病院に拉致・監禁されて不妊手術を強制された人たちがいたのだ。

 

診察なしで「精神分裂病」と決めつけ

その一人が、札幌市で暮らす元タクシー運転手の小島喜久夫さん(78)。「18歳の時、北区の中江病院(注・現在の心優会中江病院とは経営や診療内容が異なる)に強制入院させられて、診察もなしに『精神分裂病』と診断された。そこで不妊手術を強制された」と言う。

小島さんには当時、精神分裂病(統合失調症)の主症状である幻聴や妄想は一切なかった。ただ、劣悪な生育環境の影響で生き方に悩み、グレていただけだった。

両親は誰で、どこで生まれたのか。小島さんは今も知らない。物心ついた時には、比較的裕福な農家の長男として暮らしていた。

子どもができなかった父母は、誕生間もない小島さんを「実子」として育てるつもりで、小島さんの産みの親から引き取った。ところが4年後に弟が生まれ、これを境に父母の態度は一変した。

Photo by iStock

小島さんは、2歳の時に患ったポリオの後遺症で右脚を引きずるようになり、農作業が一人前にできなかった。このことも父母の態度に影響し、小島さんは「いらない子」扱いされるようになった。