日本人初の国際的報道写真家が、この国に残した「大いなる功績」

日本のカメラを世界に広めた男
神立 尚紀 プロフィール

「私にとって写真は哲学である」

戦後日本の「国際的報道写真家の草分け」である以外にも、三木は、大きく分けて三つの功績を残している。

一つは、戦後黎明期、日本光学によって開発されたばかりのニコンというカメラ、そして、同じ日本光学が製造するニッコールというレンズを、朝鮮戦争の従軍取材で来日した「LIFE」のアメリカ人写真家に勧め、使わせたこと。

当時は無名の存在に過ぎなかったニコンが、それまでカメラの覇者であった、ライカやコンタックスなどのドイツ製カメラよりも、過酷な戦場でタフに「使えた」こと、しかも写りが当時のドイツ製レンズよりシャープだったことから、「LIFE」のカメラマンがこぞって使うようになった。これが評判を呼んで、日本製カメラが世界に認められるきっかけとなったのだ。

次に、豊富な海外経験と人脈を生かして、ロバート・キャパ、カール・マイダンス、ユージン・スミス、デビッド・ダグラス・ダンカンなど、海外で活躍する写真家を積極的に日本に紹介し、「井の中の蛙」だった日本の写真文化の幅を広げたこと。

 
戦場カメラマンとして活躍したロバート・キャパ (Robert Capa) 写真家、『LIFE』時代の同僚 1954年・東京 (C)Jun Miki

三木はまた、プロ写真家で組織する「日本写真家協会(JPS)」会長をつとめ(1981-1988)、国際交流や写真家の地位向上など、写真業界全体を牽引する役回りにもついた。

三つめは、後進の育成。昭和52(1977)年、日本大学芸術学部教授に就任。15年にわたって、ゼミや「写真ジャーナリズム」の講義を通じて、数多くの学生を育てた。三木ゼミからは、第一線で活躍する幾人もの写真家を輩出している。「人の三倍働け」「人のやりたがらないことを率先してせよ」「つねに創意工夫を持て」という三木の教えは、いまも教え子たちのなかに息づいている。

三木が生前、書き記した次のような言葉がある。

「私にとって写真は哲学である。自然が私の周囲を回っている時、感性がスパークした一瞬シャッターを切る。私の心は1枚のフィルムに刻印される。自由とは何か。平和とは何か。美醜とは何か。これらの設問に写真は答えてくれる。写真を極めることは難しい。しかし、挑戦することは嬉しい行動である」

生誕100年を迎えるのを機に開催される写真展では、三木が戦後から半世紀に渡って撮り続けた作品約90点が展示される。三木の写真哲学に触れるとともに、フォトジャーナリズムがもっとも輝いていた時代を駆け抜けた写真家の軌跡を、ぜひ会場で追体験してみたい。

『生誕100年記念 三木 淳 写真展
Happy Shooting Every Day of Your Life!』


https://www.nikon-image.com/activity/news/2019/0809.html
ニコンプラザ新宿 THE GALLERY 新宿1・2
2019年9月10日(火) 〜 2019年9月30日(月) 日曜休館
10:30~18:30(最終日は15:00まで)

ニコンプラザ大阪 THE GALLERY 大阪
2019年10月10日(木) 〜 2019年10月23日(水) 日曜休館
10:30~18:30(最終日は15:00まで)


ニコンプラザ新宿 THE GALLERY 新宿1・2
2019年9月10日(火) 〜 2019年9月30日(月) 日曜休館
10:30~18:30(最終日は15:00まで)


ニコンプラザ大阪 THE GALLERY 大阪
2019年10月10日(木) 〜 2019年10月23日(水) 日曜休館
10:30~18:30(最終日は15:00まで)


ニコンプラザ大阪 THE GALLERY 大阪
2019年10月10日(木) 〜 2019年10月23日(水) 日曜休館
10:30~18:30(最終日は15:00まで)