2019.09.15
# 欧州

ブレグジットは「序章」で、これから本当に起きる「ヤバすぎる現実」

ヨーロッパの悲劇が始まる
橋爪 大三郎 プロフィール

「つぎはぎ」だらけのEU

最初は、フランスとドイツが、石炭と鉄鋼分野で協力した。

二度の世界大戦の恩讐を乗り越えた。その信頼をもとに、EEC(欧州経済共同体)が1958年にスタート。独仏伊にベネルクス三国の六カ国で、関税を引き下げ、足並みを揃えた。イギリスも1973年に参加。加盟国はどんどん増え、1993年にはEU(欧州連合)に発展する。

EUは、増築改築を繰り返した日本旅館みたいに、つぎはぎである。冷戦が崩れたあとは、東ヨーロッパも加わった。「ヨーロッパはひとつであるべきだ」、という理想が先行している。

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「ヨーロッパがひとつ」とは、どういう意味か。

国民国家ができる前、ヨーロッパではあちこちに君主や王侯がいて、国際結婚を繰り返していた。交流できないと困るので、宮廷ではフランス語を使う。今でもメニューがフランス語なのは、その名残りだ。

軍人は戦争が終わると、勲章をもらった。外国の軍隊に、再就職するためだ。軍人や外交官は、すぐヘッドハントされて、勤める国が変わった。

 

神聖ローマ帝国もあった。ヨーロッパには、ローマ帝国にあたる統一政府があるべきだ、という考え方である。西欧キリスト教文明を、超簡単な4行モデルで表わしてみよう。

 西欧キリスト教文明
 (1)まず自己主張する。
 (2)相手も自己主張している。
 (3)このままだと紛争になる。
 (4)法律があるので、大丈夫。

「法律があるので、大丈夫」と考えるのが、キリスト教徒の特徴である。もともと、ローマ帝国のローマ法があった。ローマが滅んだので、そのあとは、適当な法律に従うことにした。

「適当」とは、どういうことかと言うと、慣習も、人びとの合意も、法律になるということだ。つまり、契約も、法律になる。主従の契約が、法律として機能するので、封建制ができあがった。

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