NHK『だから私は推しました』が描く「地下アイドルのリアル」

『あまちゃん』もアイドル物語だった
碓井 広義 プロフィール

「地下アイドル」の世界を描く『だから私は推しました』

放送中のNHKよるドラ『だから私は推しました』は、一人の地下アイドルと、彼女を推す(特定のアイドルを熱烈に応援する)ドルオタ(アイドルオタク)女子の物語だ。

主人公の遠藤愛(桜井ユキ)は一見どこにでもいそうなOLさん。最近失恋したのだが、原因のひとつは、SNSでの自己アピールに夢中で、常に「いいね!」を熱望する、その過剰な承認欲求だった。

スマホを落としたことをきっかけに、偶然入った小さなライブハウスで、初めて「地下アイドル」なるものに遭遇する。

一方の栗本ハナ(白石聖)は、地下アイドルグループ「サニーサイドアップ」のメンバー。ただし、歌もダンスも不得意な上に、コミュ障気味という困ったアイドルだ。そんなハナを見て、愛は思う。「この子、まるで私だ」と。それ以来、ハナを全力で応援する日々が始まる。

まず、このドラマで描かれる「地下アイドルの世界」が興味深い。ライブの雰囲気、終演後の物販、厄介なファンの存在、アイドルたちの経済事情などが、かなりリアルなのだ。

 

「地上アイドル」と「地下アイドル」

前述のAKB48やアメ横女学園が「地上」のアイドルだとすれば、「地下」の最大の特色は、アイドルとファンの「距離感」ではないだろうか。

普通、地下アイドルの公演は、武道館や東京ドームなどの大会場で行われたりしない。ほとんどは、それこそ地下にある小さなライブハウスだったりする。キャパが小さい分、アイドルとの物理的距離が近いのだ。

近いからこそ、自分の応援は「推し(応援しているアイドル)」が認識してくれるし、応援に対してアイドルからの「レス(ファン個人への反応)」が来たりもする。応援とレスの相互作用は、地下アイドルの世界ならではの醍醐味だ。

まだ楽曲も売れていないし、有名ではないし、パフォーマンスも稚拙だったりするが、そういうことさえ、地下アイドルファンには応援する動機となる。また、ファンもたくさんはいないので、「物販」と呼ばれる、ライブ後のグッズ販売やサインや握手を通じて、本人と、かなり密接なコミュニケーションが可能となる。

そんな状況が、このドラマでは細部までリアルに描写されていて、多分、本物のドルオタの皆さんが見ても、その再現度の高さに納得するのではないかと思うほどだ。

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