『だから私は推しました』公式サイトより

NHK『だから私は推しました』が描く「地下アイドルのリアル」

『あまちゃん』もアイドル物語だった

よるドラ『だから私は推しました』(NHK、全8話)が最終章に突入した。地下アイドルと、それを応援するアラサー女子の物語だが、当初の予想をいい意味で裏切る展開に目が離せない。

そもそも、「アイドル」を描くドラマ自体がそう多くはない。ましてや、“お堅い”はずのNHKが扱うテーマとしては異色だと思う人も少なくないだろう。

NHKとアイドルドラマの関係を考える時、忘れてはならない作品がある。それが『あまちゃん』だ。

 

アイドル物語としての名作『あまちゃん』

歴代のNHK朝ドラには、いくつかの共通点がある。まず、主人公が女性であることだ。いわゆる「一代記」の形をとったものが多い。作品によっては、その生涯を年齢の異なる複数の女優がリレー形式で演じることもある。

次に、多くの朝ドラが、女性の自立を描く「職業ドラマ」という側面をもっている。全体的には、生真面目なヒロインの「成長物語」という内容が一般的だ。

『あまちゃん』における、物語の時間設定は2008年から2012年までである。放送された2013年と地続きの4年間であり、主な舞台は2011年の震災と津波で被害を受けた東北だった。

ドラマとはいえ、現実の場所と出来事をどう取り込むか、脚本作りは難しかったと推測されるが、脚本を書いた宮藤官九郎は、結果的にこのドラマを笑いとユーモアに満ちた「アイドル物語」に仕立て上げた。それが宮藤の最大の功績だ。

過去のヒロインたちが目指した法律家(『ひまわり』1996)、看護師(『ちゅらさん』2001)、編集者(『ウエルかめ』2009)などとは明らかに異質な、朝ドラから最も遠いと思われる職業、それがアイドルである。

しかし、アイドルを「人を元気にする仕事」と定義付ければ、納得がいくのではないだろうか。主人公が、震災後、被災地となった北三陸の人々を元気づける「地元アイドル」になる、というアイデアは秀逸だった。