オシャレはもう死んでいる! 10月に迫る「アパレル危機」の正体

オシャレよりコミュケとビューティー
小島 健輔 プロフィール

オシャレよりコミュケとビューティー

実際、11年から14年にかけてわずかに回復を見せた「ファッション係数」が15年以降、底割れしたのはアスレジャーブームやビジネスウエアの急激なカジュアル化の影響が大きかったと思われる。

若年人口が増え経済が上昇していた80年代まではオシャレが衣料消費を牽引したが、92年以降は経済が停滞してデフレが進行し若者人口が減り続け、社会が服装の個性や性的表現に不寛容になる中、オシャレ意欲が減退して衣料消費がコモディティ化していったと総括されよう。 

 

衣料消費が衰退した分、消費はどこに流れたのだろうか。

家計消費の分野別支出推移を見れば明らかで、「被服履物」支出が落ちた分、携帯電話料金などの「通信費」、「理美容用品」や「理美容サービス」「保険医療」に流れている。高齢層に偏る「保険医療」はともかく、「通信費」と「理美容費」が大きかった。

90年には家計消費支出の7.38%を占めていたファッション支出(「被服履物」)が18年には3.75%に激減する一方、ビューティ支出(「理美容用品」「理美容サービス」)は1.99%から2.58%に、通信支出は2.09%から4.67%に激増している。コミュニケーションとビューティーがファッションに取って代わったと言っても良いだろう。

ファッション支出の減少が止まらない中、今春から渋谷109の売上が6ヶ月連続して前年を超えるなど、10年ぶりにヤングファッションに追い風が吹いているが、その主要因は若年労働力逼迫によるバイト時給の上昇に加え、何と携帯電話料金の値下げだった

29歳以下世帯の「通信費」は18年で平均140,247円と消費支出の5.46%も占めて他の消費支出を圧迫しており、「被服履物」支出は116,346円と「通信費」支出の83%に留まるから、携帯電話料金の値下げがヤングファッションの追い風になるという“風桶話”も真実味を帯びてくる。

実際、「通信費」支出比率は17年の4.69%をピークに19年上半期は4.61%まで低下している。