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# 空き家

相続した人を困らせる「実家の空き家」問題の本質

ふたりの「再生人」が語る
地方創生なる言葉が登場したのは2014年9月。ちょうど5年前だ。政府は2020年度~2024年度の第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定中。地方創生は第2シーズンに突入することになる。
この5年間で何が見えてきたのか? 数少ない成功事例のキーマンとして、全国を講演で飛び回る二人に語り合ってもらった。
徳島県美波町に自身の経営するIT企業を移転させるだけでなく、株式会社あわえを立ち上げて、サテライトオフィスでは徳島県最多の19社を誘致、さらに全国で100近い自治体を支援してきた吉田基晴氏。しおラボ、nanoda、MICHIKARAいったユニークな企画を次々と打ち、長野県塩尻市を「都会の大企業が押しかける町」に変えた塩尻市役所の山田崇氏。
かたやビジネスマンとして、かたや地方公務員として地方を元気にしてきた二人に、人を巻き込んでいく秘訣を聞いた。 

早く売らなきゃなんて考えない

吉田基晴(以下、吉田) あわえの事業のひとつで、各地の地方公務員さんを東京に集めて勉強会をやっています。北海道から九州まで全国から集まる。山田さんには一昨年、その講師として来ていただきましたね。

山田崇(以下、山田) 空き家をどう再活用するか、みたいなテーマで。

吉田 やっぱり空き家というのは、地方創生の大きなテーマのひとつですから。今回出された本(『日本一おかしな公務員』日本経済新聞出版社)では、「空き家問題なんて存在するの?」とお書きになっていますけど、そのへんの感覚はすごくわかるな。

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空き家問題なるものは知識として知っていたけど、東京から美波町に行って、どこが問題なのか、よくわからなくなった。

山田 塩尻市も郊外の幹線道路沿いに大型店舗ができて、駅前の大門商店街がさびれる現象が起きている。2012年当時の空き家率は23パーセント。いわゆるシャッター商店街ですね。なんでこうなっちゃったのかよくわからないから、自腹を切って空き家を借りてみたんです。最大で6軒借りました。

 

吉田 住んでみなきゃわからないことってありますよね。マクロで見るのと、ミクロで見るのとでは、全然違う。美波町の場合、南海トラフ地震が来たら、間違いなく津波で町が壊滅する。そのとき空き家が瓦礫になって危ないとか言うんです。あるいは、空き家だらけだと防犯上、危険だとかね。そうした理屈は理解できるんだけど、空き家の持ち主の視点で考えると、ちょっと違う。

山田 大家さんにとって、空き家はべつに「問題」じゃないんですよ。地方は東京のように地価が高いわけではないので、固定資産税もそんなにかからない。空き家のままだったとしても、差し迫って困る事態にならない。大家さんには「急いで借り手を探さなきゃいけない」とか「早く売ってしまわなきゃまずい」とかいうモチベーションが生まれにくい。