# 国境なき医師団 # 医療 # 人道援助

「国境なき医師団」の半分は非医療者でできていた!

あなたも「人道主義者」になれる
いとう せいこう プロフィール

取材者の心構え

そういうわけで、のちに『「国境なき医師団」を見に行く』(講談社、2017年)という単行本にまとまった世界各国への取材は、取材場所で10分もしないうちになされた私からの逆取材の申し込みによって始まったのでした。

まず私は10日くらい空けられるところを前もって押さえておき、その間に広報が世界中のMSFに連絡しつつ、直前まで粘りに粘って取材を受け入れてもらえる場所を探しました。

なぜそうなるかというと、活動地では第一が患者への医療の提供であり、私の取材などよほど余裕のある時期でないと成立しないのです。また行くのはホテルがあるような場所ではないから宿舎に空きの部屋がないと無理ですし、私たちを安全に運ぶドライバーの確保なども必要になります。ゆえに常に世界の情報に気を配り、適切な現場をMSF日本の広報は提供してくれたわけです。

私の取材を評価して下さる方の中には「私も行って現状を広めたい」と言って下さる方も少なくないのですが、実は私たちはある意味で彼らの邪魔をしています。MSF全体の広報としては受け入れてもらっているものの、基本的には本来医療に集中したいところを、あえて時間をさいていただいているわけです。なので、私はいつも肩身を狭くしてインタビューしてきました。

これまたのちにも説明しますが、MSFはほとんどすべての活動資金を個人の寄付でまかなっています。ですからたとえ取材であっても、私たちはお金に気をつけてきました。現地に行くまでの飛行機は当然エコノミーです。着くまでに空港で食べたいものがあれば自分で出します。

そしていったん目的地に着けば、食費は宿舎で出るものをおいしく食べます。夜、安全な地帯へ出て何か食べるなら割り勘です。そうやって「寄付を無駄に使わない」ことは、取材者の私にとっても小さな誇りであり、喜びです。

まだまだ知らないMSFの世界へ!

さて、のちの文をよりよく理解して読んでいただくための、長いまえがきはこんなところにいたします。

何はともあれ、MSFはこれを読んでいる皆さんのうち、実はかなり多くの方が参加しうる団体であり、もちろんささいな寄付のみであってもそれが大きな効果を上げていることを知っていただけるなら幸いです。