photo by Pierre-Yves Bernard / MSF
# 国境なき医師団 # 医療 # 人道援助

「国境なき医師団」の半分は非医療者でできていた!

あなたも「人道主義者」になれる
9月17日から発売される、いとうせいこう著『「国境なき医師団」になろう!』(講談社現代新書)。本日は特別に、その「はじめに」を公開します。
奇妙なきっかけから始まった氏の「国境なき医師団」(MSF)との縁は、ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダ、南スーダンでの現地取材を経て、日本人スタッフへの徹底インタビューへと至ります。そこで明らかになったのは、「人道主義の最前線」とでも言うべきMSFの活動の実態でした。
……ところでみなさん、「国境なき医師団」で働くのが医師や看護師だけではないことを、ご存知でしたか?

男のドクロ日傘と「国境なき医師団」

2016年から世界各地の「国境なき医師団」を取材しています。これを書いている現在までにハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダ、南スーダンの五ヵ国。それぞれにハードな現実を目の当たりにしてきました。

しかしそもそも、なぜ私がそんなことをするに至ったのか。これが少し妙な顚末なので短く説明させてください。

男も日傘をさすべきだと、ある夏から考えた私は色のついた雨傘など探して実際自分でさしたり、ツイッターで「恥ずかしがるな」と呼びかけたりしていたのです。それでもなかなか男の日傘が浸透しない。

男のくせに恥ずかしいじゃないか、と人々は言うのです。明らかに日本の夏が異常になっているのに。落語の中には明治の頃に旦那がたが日傘をさして歩いている描写があるというのに。さすだけで傘の下の温度が数度下がるのにです。根性主義みたいなものにいまだ日本はとらわれているのでしょう。

ともかく流行する男性用日傘を作るべく、私は少々パンクな感じのドクロの絵を描きました。なにしろ日傘自体に女性のフリル的印象がついていたからです。そこに過激なデザインが登場すればイメージが変わるんじゃないかと。

あてもなくその絵をツイッターで発表すると、なんと大阪の傘屋さんがそれを作りましょうと返信して下さいました。いまだにお会いしたこともない方の行動力で、その男日傘シリーズはいまだに好評でよく売れています。

さて売れたのはいいがパテントはどうしましょうと傘屋さんがメールをくれました。もともと儲けで考えたことではないので、私にはもらう気がありません。それにさすがにまだ男日傘の需要ですからさほどの額じゃないのです。

それでどこかに寄付を……と思ったときに思いついたのが「国境なき医師団」でした。紛争や災害があればいち早く駆けつける人々、というのが私の印象でぼんやりした尊敬の念がありましたし、夏の陽射しが自然災害の域に達しているという認識からもイメージがぴったりだったのです。

ということで、それからは毎年ドクロ傘が売れる分を必ず「国境なき医師団」に寄付してもらっています。まことに些少ながら。