カナダ東部随一の、豊かでスケールの大きな自然が広がるオンタリオ州。カヌーや乗馬、ハイキングなど、楽しめるアウトドアもじつに多様。女優の安竜うららさんが、自然をめぐる1週間の旅に出た。

今回は、“オンタリオの地中海”と呼ばれているブルース・ペニンシュラ国立公園の巨大な湖へ。安竜さんがこの旅の終わりに、カナダの雄大な自然から教わったことがあるそう。それは一体……。

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【Hike】
カナダで出会った蒼い湖。
自分だけが持っている自然

BRUCE PENINSULA NATIONAL PARK

ブルース・ペニンシュラ国立公園のトレイルには波の浸食でできた奇岩の数々が。

翌日はオンタリオ随一のマウンテンリゾートであるブルーマウンテンズに滞在し、さらに西へドライブ。ブルース・ペニンシュラ国立公園内にある湖沿いのトレイルを歩きに行くことにした。

ホリーさんが話してくれたカナダ国旗の話を聞いてから、フラッグを見るといつも彼女のことを思い出すようになってしまった。

季節は初夏。トレイルには野花が咲き乱れ、ホリーさんは何度も立ち止まって花の説明をしてくれる。途中、立派なメープルの木を見つけたとき、なぜメープルの葉がカナダの国旗のモチーフに選ばれたのかという話をしてくれた。

「開拓時代、先住民の教えにより、人々はこの樹液から作るメープルシロップを食べて冬の飢えをしのぎました。そこから厳しい自然の中での暮らしを象徴するものとして選ばれたとか諸説あるんですけど、私の意見は少し違っていて。シュガーメープルはとても強い木で、どんな森にも根付きやすい。実際、これまで見てきた各地の森にはすごくたくさんシュガーメープルがあったでしょう? カナダは世界でも有数の多民族国家。どんな民族でもこの土地に力強く根付けるように、そして力強いメープルの木が移民たちの心の支えになるように、そんな願いが込められているんじゃないかって思うの」

自然を愛し、その中で生きてきた彼女らしい考え方。こんなふうに身の回りのことを自分なりの考えで、言葉で、語れる人になれたらと思う。

「オンタリオの地中海」と呼ばれているブルース・ペニンシュラ国立公園の巨大な湖。これまで見たことのない蒼だった。

しばらく森を歩くと、前を行くうららさんの歓声が届いた。「早く、早く!」と促されて坂を登ると、翡翠とターコイズがグラデーションになったような海が広がっていた。どんどんと先を歩き、波打ち際で波に触れようとするうららさん。予想外の大波に半身ずぶ濡れになってしまったけれど、やめようとしない。最後には靴も靴下も脱ぎ捨てて、少女のように波と遊んでいた。

撮影しているとカモメがやってきて、様子をずっと観察していた。

「私、福島の海に近い街の生まれ育ちだからかな、水を見るとやっぱり落ち着くんです。素に戻れるような感じっていうか、なんだか大人気なくてスミマセン(笑)」

この旅いちばんの笑顔だった。ああ、誰の中にも特別な自然というのがあるのだな。それは国や場所が違っても、きっかけさえあればきちんと心に戻ってくる。そして新しく出会った自然がまた、自分だけのものとして蓄積されていく。今度はこちらがうららさんに教わる番だった。

ブルース半島の突端にある港町・トバモリーではフィッシュアンドチップスを。